第27話
「まおう、、、ですか?」
凄い雰囲気を醸し出して言われたその単語は聞き覚えのないものだった。
しかし見た目からしても聖なるものってことはないのだろう。
「うん、魔物の王を略して魔王だよ。て言っても王様っていうのは名ばかりで実際は普通の魔物とあんまり変わらないよ。違う点といえば知能があり、こうして喋れるといった点ぐらいかな」
そう言いながら元の先生の姿に戻る。
先程出していたどこか不思議な空間は今は一切感じられない。
ただ今はそんなことはどうでもいい。いきなりすぎて理解が追いつかなすぎる。
「えっと、先生は魔物の王なんですよね?」
「うん、そうだね」
「それで、先生は何故学校の先生になったんですか?この学校に手を出す為ですか?」
なにせ魔物の王なのだ。人間が育つための機関を潰すなんてことは魔物にとってはメリットが多いし。
「いやいや、そんなつもりはないよ。そうだなぁ。この学校の校長は覚えているかい?」
「はい。あの小さい先生ですよね?」
「それ、本人には言わないようにね。気にしてるから。でもまぁ、そいつであってるよ。そいつも魔王」
「校長先生もですか!?」
あまりの事実に驚きを隠せない。
魔王とやらが学校に1人いると思ったらまさかの校長までもがその魔王だとは。
「あの、魔王って先生2人なんですか?それともまだ、、、」
「うん、僕ら以外にあと3人いるよ」
「あ、はい」
やっぱりいるんですね。いちゃってるんですね。まぁ、なんとなくそう言われる気はしてました。
「なんか、不思議な感じです。魔物ってやっぱり僕たちにとっては忌むべき、倒すべきものとしか考えてませんでした。現に俺も魔物は嫌いですし。そんな魔物が喋ってて、それが複数いるなんて、、、」
「まぁ、そうだろうね。ただ言い方には少し気をつけた方がいいよ。それじゃ魔物をバカにしてるようだ。
「すっ、すいません。そんなつもりでは、、、」
この先生は見ただけでわかる。ルート先生とは比べものにならないと言っていいほどに強い。怒らせたらそれこそ俺なんて一瞬で消されるだろう。
「なーんてね。別に僕は魔物がなんて言われようとどうだっていいんだよ。なにせ何の思い入れもないからね。ただ魔王の内1人だけ人間を憎み、魔物と共にずっと歩んでいきたいなぁ、なんてやつもいるから気をつけてね」
「は、はぁ、、、」
怒ったような雰囲気を出したと思ったら、おちゃらけた雰囲気に戻る。なんともキャラの掴めない先生だな。
「じゃ、僕は次の授業があるからね。そろそろ行くよ」
先生はそう言いながら立ち上がり部屋のドアノブへ手をかける。
ちょっ、まだ大事なこと聞いてなかった。
「待ってください!結局なんで先生は俺を呼んだんですか。そして、、、なんで俺なんですか?」
「そうだな、候補は2人いたんだ。君ともう1人。だが君とは違うもう1人は他の人とは違うナニかを感じたんだ。どうにも近寄りがたい、そんなナニかを。だから君にした」
「候補、ですか?それに他の人とは違うなにかって、、、やっぱりよくわからないんですが」
「今はそんなに深く考えなくていいよ。それと君に僕らが魔王が学園に勤めている理由だけ押さえておこうか」
「僕らの目的はただ一つ、精霊を消滅させることだ」
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