第26話
朝の教室
ソニア先生がドアをガラリと勢いよく開け教壇に立つ
「おっはよーみんな!学園生活一日目だよ!まだ慣れてないだろうけどさっそく今日から授業が始まるからね。時間割は後ろのボードに貼られてるからしっかりと確認するように!んじゃ、朝のお話は終わり。みな今日一日精進するように!」
その後もちょっとした雑談をしてそそくさと教室を出ていった。
なんともアクティブな先生だな。
「そんなことよりも、っと」
先ほど先生が言っていたように後ろに貼ってある紙を見て次の授業を確認する。
そこには紙が二枚貼られており剣士組と魔法組でそれぞれ分かれていた。
えーっと、魔法組の次の授業は座学で、場所は第2講義室か。地図によると、、、ここのちょうど真上かな?
「とりあえず行くか」
☆
ドアを開けて講義室に入る。
そこには既に数名の生徒もいるようだった。
それと既に先生も来ていたようで教壇に金髪の眼鏡をかけている男の人が立っていた。
とりあえず会釈をして俺は空いている席に座った。
その後もどんどんと生徒が入室してきて、席はすぐにいっぱいとなった。それを確認すると共に教壇に立っていた先生が話しだす。
「皆さん、こんにちは」
こんにちはー!
大半の生徒が大きく返事を返す。
「うん、いい返事です。ではまず自己紹介から。僕はヴァルク、今年からこの学年で教師になったからみんなと同じ1年生かな。これから1年間皆さんの座学担当となります。実技とは先生が別なのでそこは覚えていてくださいね。今日は授業というよりは交流を深めたいのでレクリエーションをやりたいと思います!」
そう言いながら足下に置いていた立方体の大きな黒い箱を教卓に乗せる。
そして、その箱にヴァルク先生が手をかざしたと同時にその箱は砕け散った。
「うん、うまくいったかな。じゃあレクリエーションの説明をするね。今から10秒後にこの教室にいる生徒にメッセージを送るからそれに従ってね」
みんなはワクワクしながら10秒のカウントをしだす。正直俺もかなり楽しみにしている。
どんなことをするんだろうな、、、そんな事を思っているとどうやら10秒がたったようでみんなのカウントが終わっていた。
すると突然俺の脳内にヴァルク先生の声が響き渡る。
(あー、あー、聞こえてるかな?聞こえたら静かに自分の右頬を掻いてもらえるかい?)
すごいなぁ、こんな魔法もあるのか、と感心しながら右頬を掻く。俺もいつかこんなテレパシーみたいなことやってみたい。
「さっきの箱は特定の人との念話を可能にするものでね。といっても一方的なものなんだけど。ともかくこれで準備は整ったよ。今からみんなルールの説明をするね」
まるで俺の心を読んだかのようにさっきの魔法の説明をしてくれた。それにしてもああいうの魔道具って言うんだよね?高そうだしこんな授業で使うにしてもちょっと豪華すぎる気もするけどなぁ。
先生は淡々と今回のレクリエーションについての説明をする。で、それを簡単にまとめるとこれから色々と課題を出す中で特定の生徒を探せとのこと。もちろん特定の生徒とは先程念話を送られた俺だ。
見つける方法としては課題は俺と他の生徒とで内容が違うためそれに注意して探し出すのだ。
「じゃあ、早速始めようか。まずはみんな手を上げてくれるかな?」
(君は両手を上げてくれ)
先生がみんなへ指示を出すと同時に俺の脳内にもメッセージが飛んでくる。
なるほど、こんな感じで少しだけ違う内容の課題がすぐに飛んでくるのか。
そんな感じで1時間が過ぎチャイムが授業の終わりを告げる。
「では、これで今日の授業を終わります。次回からはしっかりと魔法について学んでいくからね」
そう言い数冊の本を持ちながら教室を去ろうとする先生。そしてドアに手をかけると同時に振り返り
「それと、、、ジークくんは今から少しだけついて来てもらえるかな?」
「えーっと、僕ですか?」
「うん、少しだけ話があるんだ」
笑顔を崩さずにこちらを向きながらそう告げる。
突然の呼び出しに困惑する。
今まで会ったことも無いし、、、一体なんの用事なんだろう。
そうは思いつつもついていくしか選択肢は無いようなものだししょうがないだろう。
「わかりました」
「うん、ありがとう。じゃあ行こうか」
先生について歩くこと数分
たどり着いたのはどうやら会議室のようだった。
「さぁ、入って入って」
「あ、はい」
中に入ると円卓のようなものがありそこに俺と先生は隣合わせに座った。
その時に不思議な心地よさを感じた。何かに優しく、包まれている。言葉に表すことがそんな抽象的にしかできない謎の感じだった。
「じゃあ、さっそくだけど僕の正体を告げようか」
「先生の正体、、、ですか?」
急に何を言い出したのだろうか。
そう思うと同時に突然辺りは暗くなり目の前の先生の容姿は一瞬で魔物の様なものに変わった。
「せ、先生?それは、、?」
「僕の正体は魔王なんだ」
その時に向けられた笑顔を忘れることは俺は必ずないだろう。
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