第25話

意識がまだはっきりとしていない夢現な状態のなか心地の良い揺れを感じる。

今まで何度か味わった、そんな安心感と心地良さだ。稽古が終わったあとにお父さんが俺を背負いながら帰ってくれた。


「お父、、さん、、?」


無意識の内にそう口から言葉が出た。

するとその言葉にすぐさま返事が返ってきた。


「ようやく起きたか?それと、悪いがお前の父ではないぞ。こんな夜中になぜあんな場所で寝ていた?しっかりと理由を聞かせてもらおうか」


その言葉でようやく目が覚めてきた。


「あれ、、、ルート先生?」


どうやら俺はルート先生に背負われているようだった。それにしてもなぜこんな状況なんだろう。

えーっと、確か散歩してて迷って、それで、、、


「あっ!精霊!」


と、思わず叫んでしまった。


「おいおいようやく目が覚めたと思ったらどうした、急に?それと、さっきも聞いたがなぜあんなとこで寝ていたのかじっくりと聞かせて貰おうか」


「あ、はい先生。ごめんなさい」


そう言い背から下ろしてもらい近くのベンチに座り事の経緯について先生に話した。


「ふむ、気づいたら迷っていて精霊とやらに出会いそして気づいたら意識がなくなっていたと、、、ふざけているのか?」


「本当なんですって!本当に声が聞こえてその方向に向かったら精霊がいて、それで少し話てて気づいたら気を失ってたんですよ!」


まったく信じてもらえなかった。

それにこの先生の反応、どうも精霊を知らないみたいだし、だからこそやっぱり変なことを言ってる生徒に見えちゃうのかな。


「まぁ、それほど隠したい理由があるなら今日は入学初日だしな、見逃してやろう。ただし夜間の徘徊は校則に引っかかるからな、しっかり守るように。それと嘘をつくなら精霊とかいうの訳の分からない言葉を使わずにもっとマシな嘘をつくんだな」


そう言いながら立ち上がりこの場を去ろうとする。


「本当なんだけどなぁ、、、」


そう小さく呟いた。

その言葉はどうやらルート先生の耳にも聞こえてしたったようだ。

すぐさまこちらをギラりと睨み


「わかったか?」


高圧的にその言葉を放つ。


「はい!!」


恐怖に抗うことは、俺にはまだできませんでした、、、





「はうぅ」


寮の部屋に戻るなりそんな声を上げながらベッドへとダイブする。


それにしてもさっきのは本当になんだったんだろ。精霊とかいうのにあったり、いきなり加護を与えるとか言われたり、そして気づいたら気を失ってたり。


「ほんと、なんだったんだろ」


なんともまぁ、不思議な一日を終えたジークなのであった。



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