第24話

寮での説明の内容はあまり時間がかからず部屋割りとちょっとした注意事項のみだった。

寮の部屋は2人1部屋となっており2〜3階が男子、4〜5階が女子の部屋となっている。

2人1部屋なのだが、今年の入学生は寮を利用する生徒は少ないらしく俺は1人部屋となってしまった。


「まぁ、いきなり知らない人と一緒の部屋で暮らせるかって言われると微妙だしむしろありがたいかな」


部屋の整理を軽くして二つ置かれているベッドの一つに寝転がる。

もう眠いし寝よっかな。今の時間が、、、7時か。今寝たら変な時間に起きてしまいそうな気もするけど、、

少しだけ校内の散歩でもしようかな。

そう思いベッドから立ち上がり、部屋から出ていく。


「この学校敷地が広すぎるんだよなぁ覚えるのに一苦労しそう」


この学園の敷地はこの王都でも一番の大きさとされ、広さは約1km四方だ。

広いためもちろん色々な設備が整っており数々のお店なども置かれている。


そのため少しでも覚えるために散歩をしようと思ったんだが、、、


「これ、早速迷っちゃったかなぁ?」


5分ほど歩いて辺りを見渡すとすでに見知らぬ場所で目につく物は大きな池のみだ。

人に道を聞きたくとも誰かがいるという様子は感じられない。


ジーク自身は自覚できていないのだがかなりの方向音痴で村でも時々迷ったりしていたのだがそれはまた別のお話。


閑話休題


どうやって寮に帰ろうか、そう悩んでいた時だった。ふと耳に入る声。


あはは、こっちこっち〜


もーはやいよー、待ってー


幼さを感じさせる声が脳内に響き渡る。なぜか体が俺の意思を無視しその声の下へと向かい出す。また、そのことに違和感を感じることはなくむしろ行かなければならない、そんな風にさえ感じられる。

歩き続けて1分程だろうか、俺がたどり着いた場所には2つの小さな光が空中で動き回っていた。


あー、人間が来たよ〜


ほんとだー、人間だ〜人間だ〜


そんな声が聞こえたと思ったら2つの光が突然俺の周りを囲うようにして飛び出した。


オスだ、オスだ〜


あの子と同じ人間のオスだ〜


また先ほどと同じ声が今度は脳内に直接語りかけるように聞こえた。すると2つの光は突然動きを止めると小さな人の様な形に変わった。

すると一礼をしながら突然話し出した。


わたしは精霊のラキだよ〜


私は精霊のマキだよ〜


「え、あ、えっと俺はジークだよ」


思わず俺も自己紹介で返してしまった。それにしても精霊?初めて聞いたけどなんなんだろう。

それにさっきから聞こえてる声はこの2人?の声なのかな。


そうだよ〜、わたしたちだよ〜


だよ〜


え?俺今考えているだけのつもりだったんだけど声出ちゃってたかな?


ちがうよ〜、わたしたちが精霊だからだよ〜


そうだよ〜


つまりどういうことなんだろう?

まぁ、今はそんなことはどうでもいいんだ。


「あの、君達はいったいなんなの?精霊って言ってたけどその精霊っていうのが俺、よくわからないんだ」


そう問うと2人とも一瞬考え込むような仕草をしながらもすぐに返答してくれた。


えーっとね精霊はこの世界の源っておかあさまが言ってたの〜


言ってたの〜


またまた、俺にはよく理解できないことを言ってきた。世界の源ってどういうことなんだろう。この世界にとって精霊はなくてはならないものってことなのかな?


わたしたちもよくわからないの〜

私たちはお母様から詳しいお話は聞かせてもらえてないの〜


そう言うと同時に突然2人が俺の周りをぐるぐると回りながら飛び回る。


じーくはすっごい適正値が高いの〜


ジークは精霊を扱う才能を持ってるの〜


なんてことを言い出した。

正直もう俺にはこの2人の言っていることはほとんど理解することができていない。さっきでたお母様っていう存在もあるし本当に、よくわからんな。


お母様のことはいずれ分かるよ〜

それより今からジークに精霊の加護を与えるね〜


少しの間じっとしててね〜


「えっ、ちょっと急にそんなこと言われても!それに精霊の加護って一体!」


そんな俺の言葉を無視して2人は言葉を紡ぎ出す。



嗚呼、母なる大地よ、大空よ。


そなたより生まれしこの者が、いずれそなた


を救わんがため。今この時、ラキとマキの名


の下にこの者加護を与えん!


その瞬間俺の体は光に包まれそれと同時に猛烈な眠気に襲われる。一瞬で意識が持っていかれる直前最後に聞こえた言葉は一つだけ。



あなたが求めるものが為にその力を振るいなさい。それを違えし者には災厄が降りかかるであろう。


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