第23話
「みな、まずは入学おめでとう。本校へ入学するための試験はさぞ難しいことであったであろう。だからこそ入学できた、ということで自分に自信を持ってほしい。生半可な力ではまず入学が出来ないからな」
入学式の最中
今は校長からの祝辞が行われている。
そんな校長が話している最中にもかかわらず辺りは落ち着きのないものが多い。
事実、俺もかなり動揺を隠せないでいる。
理由はこの式にある誰もが思っていること。
あの校長どう見ても子供じゃない?
そう。
見るからにただの小さな(俺よりも小さい←ここ重要)少年のようだった。
喋り方とかは立派な成人なんだけど見た目と声の高さはどう考えても子供なのだ。
そんなみんなの様子に少しだけ不満があったのか
「むぅ、僕が喋っているのにみんなうるさいなぁ。"少し静かにしようか"」
ただの一言。
静かにしろ、その一言を放っただけでとてつもない威圧が放たれた。その威圧にみんな気圧されて喋ることはままならない。俺自身も魔法耐性は高いはずなのだが冷や汗は止まらない。
「うん、静かになったね。それじゃ、続きを話そうか。この学園は実力主義、だからこそ弱い者には脱落してもらう。
もちろん、学園だから人間性とかも鍛えてもらうからね。強いからっていって学友を虐めるのも勿論許さない。所詮同じ学年で強いだけだからね、他にも君たちより強い人はこの世界にたくさんいるんだ。
だからこそ僕が今伝えたいことは一つ。
自分の実力を過信するな、驕るな、そして何よりも努力することを諦めるな。以上とする」
祝辞を終え一礼をし、ステージから降りる。
その姿は堂々としていて本当に動きだけは立派な大人だった。
その後も在校生からの挨拶や新入生代表挨拶が有ったが面白いことは特になかったから省略。
式が無事に終わり先生の案内のもと自分の教室へと向かう。
やはり王国一の学園というべきか、校舎が大きすぎて講堂から教室まで歩いて五分ほどかかってしまった。
教室に着き自分の席が割り振られる。
俺の席の場所は窓際の後ろから2番目の席だった。その席に座ると突然後ろから肩を叩かれ、振り向いて見るとそこには見知った顔があった。
「あ、あのジークくん、久しぶりだね」
「うん、まだ、3日だけどね。久しぶりミア」
試験当日の最終試験で同じチームだった女の子のミアだった。
「同じクラスだったんだね、これからよろしくね」
「う、うん!よろしくねジーク君!」
それから少しだけ雑談を交えていると教壇に立った女教師からの話が始まった。
「よし、それではみな静かにしてね。私がここ2組の担任をするソニアよ、気軽にソニアちゃんって呼んでね!で、まずはこのクラスのスローガンを伝えるね!私が決めたんだけどスローガンの内容は 〜みんな仲良く〜
だよ!みんなスローガンを守って仲良くしようね!」
なんとも元気でフレンドリーな先生だった。
ただ生徒みんなからの印象は悪くはないようで俺自身もどこぞの高飛車お嬢様のような性格でないことは大変嬉しい。
「じゃー、今からすこーしだけ今後の予定について話すからしっかり聞いてねー」
ソニア先生の話によるとこの学園では半年毎に実力テストがあるらしく、そこで基準に満たないものは即退学になるためしっかりと努力をしろとの事。
また2ヶ月後にはクラス対抗マッチなるものが行われるらしくクラスの代表5人ずつが戦い合うらしい。
先生曰く
「生徒の選考は私が勝手にやりまーす!しっかり努力してないと強くても代表にはしてあげないからねー」
とのこと。
「じゃあ、今日はもう特に伝えることはないからここまで!寮に住む予定の人は今から寮でちょっとした説明があるから寄ってね!」
最後にそう言いソニア先生はそそくさと教室から去っていった。
「よし、それじゃ寮に向かうか」
席を立ち教室の後ろに貼られている校内の地図を見て寮の場所を確認する。
「あ、あのジーク君!寮に行くなら一緒に行かない?」
地図を見ていると突然そう声をかけられた。もちろん相手はミアだ。
それにしても一緒に行くっていうことはミアも寮生活なのかな?
「あの、私住んでる場所が遠くて毎日家から通うことはできなくてね、だから寮に入るの」
と、まるで心を読んだかのように事情まで説明してくれた。
「そっか、じゃあ一緒に行こっか」
「う、うん!」
こうしてミアと二人で寮へと向かうことになったのだった。
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