第19話

「これでアイネス学園入学試験を終了とする、みなよく頑張った」


教師のその発言と共に周りからは喜びの声が上がる。リオルも凄まじいほどの声の上げようだった。俺も素直に喜ぼう、そう思った時だった


「試験は終わった。しかし今回私には最終試験の出来では生徒を脱落されることを許可されている。今から言う番号の生徒は不合格だ」


突然のことにみんな口を閉じ、辺りは静寂に包まれた。そんな中教師はどんどん番号を言っていく。その中には


「151番」


俺の番号も含まれていた。






「あの、先生!なぜ俺は不合格なのですか!納得できません!」


「私もです!」


「僕も、、、」


番号を呼ばれた内の数名が教師へと抗議に行く。俺も行こうかと思ったが最終試験では俺はほとんど役に立ってないのも事実だ。言っても軽くあしらわれるのは目に見えている。


「おいジーク、いいのかよ?このまんま諦めて」


リオルもそんな俺の様子をみて声をかけてくる


「しょうがないよ、俺があんまり役に立ってなかったていうのは事実だし」


実際みんなの真似してただけだしそれでみんなと同じ様に落ちちゃうのならしょうがないし、、、


「そっか、ならお前の不合格は俺が納得いかないから抗議してくる」


そう言い先生の下へ歩き出した。


「ちょっ、リオル!待って!」


「いやだ。あの!先生!」


俺の言葉は無視し先生の下へ突き進む


「ん?なんだ?お前は不合格ではないはずだが」


「ええ、俺は不合格ではありませんでした。しかしあのジークが不合格であることは納得できません」


「あぁ、そうだった。そいつにだけは用があってな。皆の前では言えなそうな事でもあったため皆同様に不合格っていうことにさせてもらっている。」


「ではジークは合格、ということでよろしいのでしょうか?」


「いや、そうというわけでもない。用があると言ったろう?その内容次第で合否を決める。ジークと言ったか?こちらへ来い」


リオルとの話を終え今度は俺へ呼びかけた。もちろん逃げる必要もないのでそれに従う。


目の前に立つだけで感じる威圧。

すっげー怖ぇ、、、ただ自分の合否がかかってるんだから侵してはいられないか。


「先生。用とは一体なんでしょうか?」


「あぁ、まずは貴様に問おう。なぜ力がありながらそれを隠す?」


「っ!」


バレてたのか。

いや、体内の魔力を感じ取られたのか?

相手の魔力の量がどの程度かは魔法の腕に覚えがある人は読み取れるってお母さんも言ってたし。


「貴様の戦いにはどこか違和感を感じたんだ。一対一の時は魔法を使わない、チーム戦ではショボい魔法を一発のみ。そのくせ魔力は受験生の中で、、、いやこの学園の生徒の中でもトップクラスだろう。

ただ魔力が多いだけかと思ったが、最後の詠唱を一部間違えていた。それでも魔法は発動していた。

本来魔法は詠唱を間違えると発動しない筈だ。にも関わらず貴様の魔法は発動していた。だから無詠唱で魔法も発動できるのだろうと思ってな」


そこまで見られていたのか、、、

まさかちょっとしたミスで無詠唱のことまでバレるなんて、、、


「はい、少し理由があって力を抑えました」


「そうか、それが確認できてよかった。では今から武闘場へ着いてこい」


言うや否や歩きだした。


「え?」


「早く来い」


「えっと、なぜでしょうか?」


「今から貴様には私と決闘してもらう。その内容次第で合否を決めさせてもらおう」


「えええ!?」


いやー、冗談キツイっす。

まさかここで教師と戦うことになるなんて、

正直キツない?まだ俺7歳だよ?それが国最大の学園の教師と決闘とか、、、


「では行くぞ」


「____はい」


やれるだけのことをやるしかないよな、、、

すると話を聞いていたリオルが俺に向かって激励の言葉を、、、


「ジーク、がーんば!」


「なんかノリ軽くない?ねぇ?でも、まぁ頑張るよ。ありがとリオル」


「おう!頑張れよ」


そう言い拳を突き出してくる。それに俺も応える。今日会ったばかりとは思えない。そう感じる程にリオルには親しみを感じていた。


次の決闘で俺のこれからの人生が変わるんだ。気合い入れて行くか!

自分に喝を入れて決闘に臨むジークであった。


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