第18話

「それでは、はじめ!」


ついに始まったチーム戦。

合図と同時にリオルとミアが駆け出し相手の1人に斬りかかる。

突然2人に斬りかかられた少年は慌てて対応しようとするも流石に2人相手にはどうしようもない。相手チームがカバーに入る隙も与えず一瞬で1人を倒す。ここまでは作戦通り、後は魔法さえ潰せば勝ちだ。



遡ること40分


「で、ジーク。1人を一瞬で倒し終わったとしてもそれからはどうするんだ?それに倒せるかも相手の動き次第だし」


「とりあえず倒せなかった場合の対応は後で話すとして、倒せた場合だけどおそらくファイアーボールが2人目掛けて飛んでくるから

それを2人には確実に躱してほしい。1人倒されたとしたら焦って魔法を使うことは十分に考えられるからね。そして残りの2人の剣士組はリオルとミアに対応してもらう。そしたら余るのは俺とリーア、対して相手は魔法使いのみ。リオルとミアが耐えてくれていたら後は俺とリーアが魔法使いを倒してカバーに入るって感じかな」


「ほ〜、すげぇなジーク。そんなに先のことまで考えれるなんて。俺には無理だわ」


「あくまでこれは上手く行った時の作戦だよ。作戦なんて狂うほうが当たり前だし。

とりあえず今のところ質問はあるかな?」


周りを見るとリーアがなにかを言いたげだった。


「リーア、何か問題とかあったりした?修正はしときたいからどんどん言ってほしい」


「なぜ、私ではなくこの子が奇襲係なのですか?これでは私の見せ場があまりに少ないですわ」


ミアを指差しながら明らかに不満そうに言う。指を指されたミアも若干怖がってる。

まぁ、怖いよな、、、俺も多分怖い。


「理由としてはリーアの武器が両手剣であること。その武器だと機動力は落ちるし、片手剣であるミアのほうが奇襲としては優れているから。それと相手が魔法使いの場合は大剣の方が便利だ」


「なんでですの?」


「簡単だよ、子供の魔法の威力なんてタカが知れてるから十分に剣で防げる、その場合片手剣よりは両手剣って感じかな。それに詠唱もそんなに早いわけじゃないから速度より威力重視」


「、、、まぁ、納得しましたわ」


「うん、よかったよ」



…………



「リオル、ミア!」


「ああ!」


「はい!」


想定通り的は2人目掛けて火球を放つ。

2人ともそれを難なくかわし残った2人の剣士へと向かう。


「ミアお前は短髪の方の女を頼む。俺はこっちのおっきい方の女とやるから」


「わかりました!」


しっかりと2人に剣士を貼り付けられたな。あとはあいつだけだ。

視線の先には先程火球を放った少女。

次は動いていないこちらに向け魔法を放つために詠唱をしているようだ。


「リーア、いくぞ!」


「わかってますわ!」


2人同時に走りだす。

向こうは戸惑いながらもとりあえず当てやすそうと判断したのか詠唱を終え俺に向かって火球を放つ。距離も短かったため若干当たりそうになりながらも横にかわし俺もお返し、とばかりにファイアーボールの詠唱を始める。


そう。恐れられたくないのならみんなに合わせればいいだけだ。詠唱付きかつ威力を抑えて打てば目立つことはない。


初めての詠唱で若干ぎこちなかったが無事発動し火球は相手へと向かう。

それを必死に回避するがそれはただの囮だ。

今回のとどめリーアに任せないと怒り出すかもしれないし。

相手が躱している間に距離を縮めきっていたリーアが両手で剣を薙ぎ払う。流石にあの大きな剣で叩かれてしまっては相手も気絶してしまった。


「わたくしならこれくらい当然ですわ」


こちらを見ながらのドヤ顔

態度に見合った実力はあるようだったが、それでもやはりその態度は直してほしいものだ。


「まだ終わってないぞ!リオルとミアのカバー!」


「もう!少しは余韻に浸させてくださいな!」


そう言いながらも2人のカバーにしっかりと入る。残った2人はかなり強かった。それでもやはり4人相手には分が悪いため、粘るも数で押し切った。


結局俺は大したこともせずにここアイネス魔法学園の入学試験を合格した。



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