第17話

「21番、リオルです」


「22番、カイです」


教師へ一礼し相手へと向かい合う。

カイという少年が使う武器はダガーのような物みたいだ。


「よし、、、では、はじめ!」


教師の合図と共に相手は走り出す。

訓練用の木剣を握りしめ相手の一挙一動に目を見張る。


数秒でリオルの元へ駆け抜けダガーを振り抜いたカイに対し俺は木剣でガードをする。

思い切り振り抜いたためガードの衝撃も大きく、カイに隙ができる。

もちろんそれを見逃すはずもない。


剣を横一閃、腹に打ち込む


それで勝負はついた。

たった一撃、されどその一撃は重くカイの意識はすんなり飛んでいった。


「勝者、22番!」


周りからも感嘆の声や大きな拍手があがる


「よしっ」


小さくガッツポーズ。

これで残るは最終試験のみだ。

絶対に合格して父とのあの約束を果たすんだ。








「では、ただ今より最終試験の説明を行う。

皆、心して聞くように。

まず試験内容は残った272名の中で魔法組1人に対し剣士組が2人、もしくは3人で組んでもらう。その後その組んだチームごとで私たちが指名し戦ってもらう。負けたチームはもちろん脱落、勝ったチームのみに合格を許そう。もちろんチームごとに力量差はあるが不満は一切受け付けない。チームメンバーへの暴言、暴力も禁止だ。それでは先程の試験での番号を発表する。一度しか言わないのでよく聞くように」


まーた大変な試験内容だな。

自分が足を引っ張るかもしれないしその逆もまたあると。それにこの人数ならチームワークもかなり重要になってくるし、他にも色々問題はあるんだよな。


「次、、、151!21!47!240!」


「あ、はい!」


あれこれ考えていたため呼ばれたことに一瞬驚いたてしまった。

指定された場所に行くとそこには少女が2人と見慣れた少年、リオルだった。


「お、ジークも同じチームか、頑張ろうな」


「ああ、よろしくねリオル」


よかった。知り合いがいて、ほんの少しだけ安心した。


「あら、2人とも知り合いですの?」


後ろから声がかけられる。

振り返るとそこにはいかにもお嬢様といった感じの金髪ドリルの少女。


「ん?ああ。最初の第1試験で知り合って一緒に隠れてたんだ」


「そうですの。まぁ、どちらでもいいですわ。わたくしの足さえ引っ張らなければ」


うわぁ、すっごい上からだよぉ。俺こういうタイプ苦手なんだよなぁ。


「それなりの実力はあるつもりだから安心しててくれ」


そんな俺とは違ってリオルは笑顔付きで言葉を返す。優しいやつやで。


「そ」


そんな素っ気ない返事を返しもう興味はなくなったのか少し離れて行った。


「俺、あいつ苦手、、、」


「まぁ、そう言うなよ。これから同じチームなんだし仲良くしようぜ」


「うーん、わかってるよ」


「あ、あの!」


「ん?」


リオルに愚痴を漏らしていると隣からの突然の声。見てみると2人いた少女の残りの1人だった。俺よりも少しだけ背の低い黒髪ショートの女の子。


「あ、あの、、、私ミアって言います!使用武器は片手剣です!足を引っ張らないようにしますのでどうか仲間はずれにしないでくだしゃい!あわわ、噛んじゃったぁ」


なんとも天然そうな子だった


「そっか、よろしくねミアさん。俺はジークだよ」


「んで、俺はリオル。使用武器はミアと同じく片手剣だ。よろしくな」


「はい!二人ともよろしくお願いしましゅ!

あぁ!また噛んじゃった、、、」


少し変わった少女ミアとも話すことができ、チームメンバーの性格はなんとなく理解できたかな?という時にちょうど強面の教師からの説明が始まった。


「よしチームは組み終わったな、ではこれより一時間ほど時間を取る!その間に親睦を深めるのもよし、作戦を考えるのもよし。忘れてはならないのは今共にいるメンバーは一緒に合格するか一緒に脱落するかそれを決める仲間だ。自分だけが頑張るんじゃない、チームとして頑張らなければ合格はできないと思え。それでは一時間後にグラウンドに集合だ、解散!」


教師の話が終わると同時にまた周りの話し声は大きくなる。


「よし、とりあえず4人で話合うか。おーい!金髪のお嬢様ー!話合いするからこっちこーい!」


少し離れた場所にいた金髪ドリルの少女を呼ぶ。それにしても呼び方、、、ほらぁあれ絶対怒ってるよ、、、

こっちを見る少女の顔は真っ赤でリオルを激しく睨みつけている。


「ちょっと、あなた!わたくしにはリーナという名前がありましてよ!呼び方を少し考えてほしいものですわね。下賤な男でもそれくらいはできるでしょう?」


「んー、悪かったな。じゃ、作戦の話始めるぞー」


「適当にあしらわないでくれますかしら?!」


「わかった、わかった。とりあえず落ち着いてくれ、リーナ」


「まぁ、わかればよろしいのですわ」


そんなコントのようなやりとりも終わり本格的な作戦の話へと入っていった。

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