第15話
目の前に広がる魔物の死体。
それを生み出しているのは俺だ。今も必死に目の前の魔物を殺している。
……い、……………おい
一匹殺すと次、そのまた次へとその殺戮は止まることはない。
……ろ、…………きろよ
周りから送られる視線、その多くは畏怖の念を含んでいるのだろう。それでも止まることはない、止まってはならない。
父さんが愛し、守ろうとした村なのだから。
「起きろ!」
「ふぇ?!」
突然の大声に思わず変な声が出てしまった。
「やっと起きたか、さっきから声かけてんのに全然起きないからさすがに心配しただろ」
俺の目の前に立っていたのは俺と同じような小柄(しかし俺よりは大きい)な少年が立っていた。
「え、あ、えーっとごめんなさい。それで、そのぉ、あなたは?」
まったく見覚えがない。おそらく受験生なのであろうが、なぜここにいるのだろうか?俺と同じ考えだったのかな?
「ん?あぁ、俺はリオル。入学試験受けてて絶賛逃走中、隠れる場所探してたらお前が体育館入るの見かけてさ、俺も体育館で隠れれる場所あったらそこに隠れっかなって思ってんで、探索中に睡眠中のお前と遭遇したんだ」
つまり簡単に言うと同じ受験生か。
それにしても少し休むつもりが寝てしまうとは、、、鬼来てたら終わってたぞ。
「そっか、起こしてくれてありがとう。俺はジーク、リオル君と同じ受験生だよ。少しだけ休むつもりが寝ちゃってて、お恥ずかしい限りです」
「そっか、それにしてもよくこの状況で眠れるよな、俺はさすがに眠れそうにないよ。
それと俺のことはリオルでいいよ、俺もジークって呼ぶからさ」
「りょーかい、よろしくなリオル」
「ああ!頑張って試験突破しような!んで試験の話に戻るんだが今試験が始まって30分ぐらい経ってんだけどすでに3分の1ぐらいは脱落してるっぽい」
「3分の1!?」
3分の1って、たしかこの試験1000人以上は確実に受けてたよな?それの3分の1って、、、
教職員やばすぎだろ。俺みんなが頑張ってる中居眠りってなんか申し訳ないな。
「でもまぁ、とりあえず俺はここに潜伏してるよ。リオルはどうする?」
「んー、俺も体育館散策してみたけど良さげな隠れ場所なかったしここに隠れとくわ」
「おっけー」
そん感じで雑談を始めた2人なのであった。
〜30分後〜
「これをもって第1試験を終了とする。逃げ延びたものは速やかに体育館へと移動するように」
そんな放送が全校に流された。
そんな中俺とジークは呆然とした。
「なーんか、見事になにもなかったね」
「ほんとになんもなかったな、第1試験のあの短い説明を聞いた時のパニックを返してほしいくらいだ」
そう、なにもなかったのだ。
リオル出会ってから30分間、ただただ雑談の時間となってしまった。
まぁ、何事もなく第1試験を突破できたので良かったのだが、よかったのだがなにか物足りない。
「まぁ、突破できたんだし良しとしようぜ。他の受験者も集まってきた見たいだし俺らもここから出ようぜ」
そう言いながらステージ裏から出て行くリオル。先程の雑談で色々彼のことも聞くことができた。どうやら彼は騎士の息子らしく彼自身も騎士を目指しているらしい。魔法は逃げてなためもともと諦めているとか。
俺と違ってしっかり将来のことも考えてるんだよな、、、
まぁ今はそんなこと考えても仕方ないな、次の試験に集中しないと。
ちょっとした物思いに耽っている間にみんな体育館へと集まっていた様だ。第1試験が始まる前に比べるとその数は半分くらいには到達していた。
だいたい500人程度かな?こっからさらにまた絞られていくんだろうし試験が何個あるかもまだ分かってないんだよなぁ。
「では、これから第2試験を始める。
まずは戦闘をする場合に剣を使う者はステージ向かって右側に、魔法を使うものは向かって左側へと移動してくれ」
その指示にみな素直に従う。
割合としては剣7割、魔法3割といったところだろうか。
「よし、別れたな。ではこれより魔法組は魔法組、剣士組は剣士組でお互いに対戦してもらう。勝ったものが次の最終試験に臨むことができる、以上だ。みなグラウンドへ来るように」
またも第1試験と同じように口早に言葉が並べられた。しかし第1試験とは違いなにをすれば良いのかは明らか。
そう勝てばいいのだ、同じ受験生に。
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