第14話

「うぅ、ついに明日かぁ。緊張するな」


明日に迫った入学試験を目前にしてやはり緊張してしまう。

魔法には自信あるけどそれ以外あんまり自信ないんだよなぁ。試験内容も伏せられてるみたいだから対策のしようもあんまりないし、明日に備えて寝たいけど緊張であんま眠れないし。


「まぁ、でもやれることをやればいいだけだよね。落ちたら落ちたでまたその時に考えよ」


先程までの緊張はどこへいったのやら。そう割り切ってベッドへ潜り込む。明日への期待と不安を胸にして、、、




試験当日


アイネス学園 会議室にて


「よし、みな集まったな」


1人の40代ぐらいであろう男が円卓を見回し喋り出した。


「今日が試験当日だ。受験者も大変多いと予想される。決して問題の起きないようにみな監督を頼む」


「「「「「「「はい」」」」」」」


円卓に座っているものがみな同様に返事をする。


「それと、、、ルート教官!」


「はっ!」


「今回の最終試験だが、、、勝ったチームでも酷い者は落としても構わん」


「よろしいので?」


「あぁ、最近生徒に腑抜けたやつも増えてきたのでな。より厳選する必要があろう」


「了解いたしました」


「頼んだぞ、それでは朝礼は終わりだ。みな今日一日よろしく頼むぞ!」


そんな学園での朝の光景であった。







やってきましたー、アイネス学園!

王国一番の学園!大きな校舎に広大なグラウンド、他にも数々の施設がありまさに教育のための場所!といった感じですね〜。


なんていう誰に言ってるかもわからない学園のアピールを終え試験会場である学園の体育館へと向かう。周りには10m先は見えないというくらいには人はいた。おそらくみんな受験生なのであろう。

耳をすませば仲がいい友達なのであろうか楽しそうに雑談をしているものや、今にも顔につきそうなほどに本を近づけてながら読んでいるもの、人の波にのまれあわあわ言っているものなどがいた。

そんな感じで人間観察をしている間に体育館へと到着していた。その体育館もまた想像以上に広かった。

とりあえず体育館の隅という安定のポジをとり説明が始まるのを待つ。その間も人は止まらずに体育館へと入ってくる。ようやく入場してくるものが少なくなったか?と思い始めた途端にちょうど真上にあった魔道具から声が発せられる。


「それではただいまより入学試験の説明を始める、みな集中して聞くように。

まず今回の第1試験では"鬼ごっこ"をしてもらう。内容だが名の通りみなには鬼から1時間逃げ延びてもらう。

ちなみに鬼は教職員10名だ。体のどこかに触れられた場合捕まったとみなされ、即返ってもらう。1時間捕まらず逃げ延びた者は、またこの体育館へ集まってくるように。逃げる範囲は学園内なら校舎だろうがグラウンドだろうがどこでも良い。5分後に鬼は動き出すぞ、では解散!」


理解する暇もなく次々と言葉が並べられる。周りの人たちもパニックに陥っている者が多いようだ。

それにしても、鬼ごっこか。よくわかんないけどとりあえず鬼に触れられなければいいんだよな?ルールを完璧に把握はできてないけどとりあえず体育館から出るか。そう思い出入り口を見た瞬間に絶望した。皆が我先にと体育館に出ようとしているために最早地獄絵図とかしている。

どしよ、これ。とりあえず俺も出入り口争奪戦に参戦してるみるか。そう思い体を滑り込ませてみると思いのほかあっさりと外へ出ることができた。

体が小柄なのが幸いしたな、、、


「んー、あと3分ぐらいで鬼が動きだすのか。1時間逃げ続けてもばかばかしいし隠れていよっと」


そう決めると行動は早い

より身を隠しやすいところを探す、しかし一向に見つかる様子はない。


「んー、どうしよう。こうなったら灯台下暗しってことで体育館のステージ裏にでも隠れてみようかな」


体育館への入り口へ戻ってみるとそこには先程での争いは嘘のように誰一人としていなかった。


「失礼しまーす、っと」


誰もいないのを確認して体育館へと潜入。そしてステージ裏へと向かう。そこにはポツンと一つのイスがあるだけで、他にはなにもなかった。


「とりあえずここに座って休んどくか」


イスに座り座り少しだけ目を瞑る。

そう、ほんとに少しだけのつもりだったのだ。しかし気づいた時には夢の世界へと誘われているジーク。


そしてそのジークに近づく一つの人影があったのだった。

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