第13話

「じゃな、小僧。ここでお別れだ。元気に生きろよ」


ここまで送ってきた御者がそうお別れを告げる。


「うん、おじさんも今までありがと。これからもお仕事頑張ってね!」


「おうよ!」


こうしてジークが初めて出会ったアステラ村以外の人とのお別れ、、、


「おい、ちょっと待とうぜ。もう少しさ、なんかないのか?あっさりしすぎてない?お前7歳だよな?もっとこうさ、子供っぽさ出せないの?」


急にそんなことを言い出した


「いやぁ、そんなこと言われても、、、それに子供っぽさってどんな感じの?」


「まだおじさんと話したいよー、とか一緒についてきてー、とかさ」


「えぇ、おじさんと話したいって思ってることは現時点では無いし、、、一緒についてきてって俺まだ行く場所決まってないし、、、だからおじさんに言うことは特にないんだよ」


「お前ほんとにあっさりしてんな!でもそうか、行く場所がないのか、、、そういえばアイネス学園の入学試験がちょうど一週間後にあるみたいだぞ。お前の魔法は道中で見てみたけどなんか凄そうだったし目指してみてもいいんじゃないか?寮があるから宿代も浮くし。ほらちょうどここの掲示板にも書かれてるだろ?」


掲示板の右上あたりを指差してながらそういう。その指先を見てみると一枚の大きな紙。その紙にまず目がいくのは

[アイネス学園、入学試験]

と大きく書かれている文字だった。


「学園かぁ、、、」


「あくまで選択肢の一つとしてだがな。他にもお前に向いているのはたくさんあるかもしれん。まぁ、地道に自分のやりたいことを探すこった。じゃあ、お迎えも来たことだし、ほんとにお別れだな」


お迎え?そう思っているとこちらに向かって1人の女性が歩いてきた。


「お帰りなさい、シュウ。長旅ご苦労様。

成果はどうだったの?」


「ぼちぼちだな。色々きな臭い情報も入ってきた」


「あら、そうなのね。詳しい話はギルドで聞くとしましょうか」


「あぁ、じゃあ行くか。じゃあな小僧、強く生きろよ!」


「うん、ありがとうおじさん。ほんとにお世話になりました」


「おう」


こうして今度こそお別れを告げるのだった。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「入学試験は1週間後、年齢は7歳から10歳までか、、、」


つまり時期的にはジークにはちょうど良かったのだ。それにこれから行くあてのないジークにとっては寮もあるというのもかなり魅力的だった。

試験を受けてみるか、どうか悩んでいると突然後ろから声をかけられた。


「おやおやどうしたんだい?掲示板の前でそんなに考え事をして、迷子かい?」


振り向いてみるとそこには老婆が立っていた。


「あ、いえ。このアイネス学園の入学試験を受けようかどうか迷ってまして」


老婆に自分がここで悩んでいた経緯について話す。


「そう、ならその試験を受けてみてもいいんじゃないかしら?まだまだあなたは子どもなんだから何事にも挑戦することが大事よ。それに同年代の友達と過ごすことでまた新たな発見があるかもしれないしね」


そんなことを言い笑いながら去って行った。

結局あの人はなんだったんだろう。

何事にも挑戦することが大事、か。

よし、試験受けてみるか!



この先の人生を大きく左右する決断をしたジークなのであった。

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