第12話

「ほえぇ、おっきい門と壁だなぁ」


3日をかけ森を抜けそこから1週間馬車に乗りようやく王都へとジークの開口一言目がこれであった。

ジークの目の前にあるのは高さ10はある大きな門と王都を囲む大きな壁だった。


そんなジークの様子を見て御者は微笑む。


「どうだ、小僧?これが王都ノイルンの城壁だ。これのおかげで魔物も侵入できねぇ。

みんな魔物には怯えずに過ごせるってこった」


「うん!すごいね!それにしても、どうやってこんな大きなものを作ったんだろう」


ふと疑問に思いそう呟く。この高さの壁を王都で囲うように作るには沢山の人とお金と時間が必要であろう。


「そりゃあ、もちろん魔法に決まっているだろう!俺は魔法のことはよくわからんがとにかく凄いらしいぞ。今の宮廷魔法士長だったか、その人も学園時代は史上最高の傑作なんて言われてたらしい」


ジークの疑問を聞いた御者がそう教えてくれた。

それにしても魔法かぁ、やっぱり魔法があると色々できるんだなぁ。俺今まで森の魔物倒すために攻撃系の魔法ばかり練習してたもんな。それにしても、、、


「ねぇ、おじさん。学園ってなに?」


「ん?ああ、アステラ村にいたら知らないのも無理ないか。学園ってのは王都ノイルンにあるアイネス学園を指すんだ。アイネス学園はここノイルン王国でも屈指の学園で入学するにも相当の実力が必要らしい。それに入学してからも色々厳しいらしくてな、俺はよくわからんが卒業したものは将来は約束されてるらしい」


「ふーん、そうなんだ。ありがと、おじさん」


「いいってことよ、他にも聞きたいことがあれば何でも聞きな!俺と小僧の仲だからな」


「おじさんと知り合ってまだ1週間だからそんなに親しい仲ではないと思うんだけど」


「おっと、冷てえな小僧。もう少しでお別れなんだからもう少し俺に優しくしてくれてもいいんだぜ?おじさん生意気な子供も嫌いじゃないがやっぱり優しい子供の方がいいと思うんだよ」


そんな冗談を言いながら雑談をしているとようやく門の下まで辿りついた。


「失礼。身分証明書を見せてもらえるでしょうか?」


門にいる衛兵にそう話しかけられるおじさん。


「あぁ、これだ。商業ギルドのギルドカード。それとこの子なんだがアステラ村から来てなまだ身分証明書を持ってないんだ。証明書の発行をおねがいしてもいいか?」


「わかりました。色々手続きを行なってもらうのと発行代として2000G必要となります。

それと、身分の確認も完了しました。カードは返却しておきますね」


そう言いさきほど渡していたギルドカードが返却されていた。


「おお、サンキュ」


「では、そこの君。少々こちらへ来たまえ」


「え、あ、はい!」


おじさんと衛兵とのやりとりを見ながら少々ぼーっとしてたため一瞬話しかけられていることに気がつかなかった。


「すいません、少々ぼーっとしてました」


「ああ、気にしなくていいんだよ。では早速だがこの紙に名前、性別、年齢を書いてもらえるかい?」


そう言いきれいな紙を渡してきた。

そこには先程衛兵が言っていたことを書く枠と小さな円が書かれていた。なんだろうか?と疑問に思いつつもとりあえず枠を埋めていく。


「よし、しっかり書けているな。では最後にこの小さな円に一滴だけ血を垂らしてもらえるかな?」


「えっと、血ですか?」


突然血を要求され少々驚いてしまった。

一体何のために垂らすのだろうか?

そう思っているとまるで俺の思考を読んだかのように説明をしてくれた。


「あぁ、この血なんだがこの紙に嘘偽りはありませんよって言うのを証明するものでね、もし嘘を書いていたら血を垂らした途端に紙が燃えてしまうんだ。それと犯罪歴があるものが血を垂らすとこの紙が黒く光る。先先代の宮廷魔法士長が開発した魔法の紙らしいよ」


おぉ。そんな魔法まで開発するなんてさっきもおじさんが言ってたけどやっぱり宮廷魔法士長って凄いんだなぁ。そんな風に関心しながら自分の人差し指に傷をつけ血を垂らす。

そんな俺を見ながら衛兵が少し驚いていた。


「えっと、、、どうしたんですか?そんなに驚いたような顔して。何か変なことしちゃいましたか俺」


そう思い凄い不安になってると


「いや、随分とためらいもなく自分の指に傷をつけたいたから驚いただけだよ。7歳にしては度胸もあるようだ。、、、よし紙に問題もないな。あとは発行代の2000Gだが今持ってるかい?」


よかった。変なことはしてなかったみたいだな、安心安心。


「うん、はい2000G」


1000G硬貨を二枚渡す


「よし、ではこれが身分証明書だ。無くさないようにするんだぞ」


「うん!ありがとう!」


小さなカードを受け取り門を通り抜けた。

すると目の前に広がるのは村とは比べものにならないほどの人と建物の数だった。


「うわぁ、すごいねおじさん!」


「ああ、凄いだろう、なんて言ったって王都だからな。夜も人が行き交ってうるさいくらいだ」


「へぇぇ」


新しい環境に胸が踊る。

これからここで俺なりの生き方を見つけよう。そう決心するジークであった。

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