第10話
学校から出発したバスで30分目的地、洲崎奴隷調教所に到着した。バスから降りると職員の人が私たちを待っている。
「ようこそ洲崎奴隷調教所へ。私は今日と明日にかけて当施設を案内させてもらう所長代理の洲崎藍那です。短い間ですがよろしくお願いします。」
私の想像とは違う優しい表情のお姉さんが所長だった。
「早速ですがそろそろ今日の仕事が始まりますのでついてきてください。」
私たちは簡素な椅子がぽつんと置いてあるだけの大きな部屋に案内された。しかしその椅子をよく見ると背もたれには焦げたような跡、布で覆われた肘掛けは赤黒く染まっている。
「藍那さんどうしてあの椅子は汚れているんですか?」
クラスの生徒が聞く。
「もう少ししたら説明と実演をしますね。」
それに所長代理は笑顔で答えた。実演をすると言っているのにとても優しい笑顔で。
「皆さん注目してください。今から奴隷調教の実演をさせてもらいます。」
そしてその言葉とともに真っ白な服を着た職員が1人の男を連れてきた。
「この男は妻子がいるのにもかかわらずギャンブルでお金を使い果たし、借金を妻名義でたくさん作りました。挙げ句の果てには自分の子供を奴隷として売ろうとしたところを先に奥さんに奴隷として売られた物です。今日はこの男を奴隷調教するところを見てもらいます。」
そして男の口にはめられていた物が外され男が話せるようになった。
「金は返す!離してくれ!俺は奴隷になりたくない!頼むお願いだ、離してくれ!」
「黙らせてください。」
所長は助けを求める男を無視してさっきまでと同じ優しい表情、優しい声で職員にいった。すると男を抑えていた職員が男を殴り始めた。何度も何度も、男が黙るまで殴り続けた。
「始める前に少し話を、皆さんはどうして奴隷を調教する施設ができたかわかりますか?奴隷達の大きな反抗からできたと思われがちですが奴隷法施行の一年前からありました。しかしその頃は奴隷に関しての法整備が整ってなかったので奴隷調教所は全くと言っていいほど使われていませんでした。奴隷を人として見るか、物として見るかで決めかねていたからです。しかし今は奴隷を物として扱うため、自分達の力で奴隷調教をできない人の代わりに調教する施設として必要不可欠なものとなりました。」
話を続ける所長代理に職員が何か報告をしている。
「若葉ちゃん何か嫌な予感がする。多分今から起こること見ない方がいいかも。」
話が止まった隙に幸が私に囁いた。
「幸どういうこと?」
私の事に答える前に所長代理の話がまた始まった。
「話の途中ですが準備ができたのでこれからまず奴隷の登録を実際に見てもらいます。」
すると男を支えていた職員が男を椅子に座らせた。
「まずはこの男の目を覚まさせましょう。」
すると彼女に湯気が立つポットのようなものが渡された。そして中身を全て男の頭からかけた。悲鳴をあげ男は飛び起きた。
「痛いっ!何だ何をかけた!ああああ痛いっ!痛い痛すぎる!それに何だこの椅子痛すぎる耐えられない解いてくれ!」
男は拘束されたまま身体を必死になって動かす。またその男に職員が近づいた。そして男の着ていた上着を奪いとった。
「それでは奴隷の刻印を入れるのですがスイッチを押すだけなので誰かやってみませんか?」
何人かのクラスメイトが手をあげる。そして選ばれた女子生徒が説明を受ける。
「説明も終わったので押してもらいましょう。好きなタイミングで押して下さいね。」
スイッチに女子生徒の指がかかった。
「若葉ちゃん見ちゃダメ。」
幸が私の手を握る。
スイッチが押されるとすぐに男が叫び始めた。するとだんだん部屋に人の肉が焼けた匂いが充満し始める。男は痛みと衝撃で気絶した。
「これで奴隷の刻印は終了です。次はこの機械チップが入っているなでそれを奴隷の首に埋めます。これも簡単なので同じ子にやってもらいましょう。」
今度は注射器のような物が渡された。そしてそれを首に当て機械を起動させた。首に何かが刺さる音がする。今度は薄っすらと血の匂いがしてきた。
「若葉ちゃん全部見ちゃってたけど大丈夫?具合悪くない?」
顔が真っ青になっている幸が私を見つめていた。
もし世界の奴隷が消えたなら こころん @kkrn_2357
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。もし世界の奴隷が消えたならの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます