第9話
紗優に連れられて来た少女は人形のような子だった。白く透明感のある肌、宝石のように綺麗な瞳。住んでいる世界が違うくらいに綺麗な少女だった。
「ほら、千紗都ちゃん挨拶!」
彼女は紗優の後ろで下を向いたまま挨拶をしようとしない。
「なら先に私が、西門幸ですこれからよろしくねちさとちゃん。」
幸は彼女の顔を覗き込み挨拶をした。
「千紗都ちゃん具合悪いの……?」
「さゆちゃんがいるから大丈夫。」
彼女は紗優のことばだけには返事をした。駄目だとわかっているが私も始めた。
「栄若葉、昨日の電話で話題に出されてた人です。少しでも仲良くしてね。」
そして千紗都は私たちの言葉に始めて言葉を返した。
「私は……あなた達の友達になりたいわけじゃない。」
そう言い残し千紗都は走り去っていった。
「ごめんね若葉ちゃん、幸ちゃん。多分千紗都ちゃん緊張してるだと思う。入学式の時の自己紹介の時も体調を崩して保健室行ってたから…」
「ううん大丈夫だよさゆちゃん。余計仲良くなりたくなってきたから!」
幸のやる気は目に見えるくらい伝わって来る。
「始まった。幸のしつこい友達作り。」
そして私は千紗都の走っていった方を向いた。千紗都のいた場所には一冊のノートが落ちていた。私は興味本位でそのノートを開いた。
お母さんを た。血が止まらない。どうすればいいのかわたしにはわからない。早くしないとお母さんに 。どうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう。
千紗都が書いたのだろうかぐちゃぐちゃに書かれている日記。ところどころ文字が消え見えなくなっている。するとわたしの手からノートがとられた。
「ごめん若葉ちゃんこれ千紗都ちゃんのノートだからあんまり見ないであげて。」
さっきまで幸と話していた紗優が困った顔をして私に言ってきた。
「ごめん。紗優から千紗都に返しておいて。見たことは忘れるから。」
私たちは教室に着きホームルームが始まった。
「突然ですが明日校外活動で社会見学に行きます。」
入学して初めての大きな行事ということで私たちは期待に胸を弾ませた。しかしそれはすぐに別の物へと変わった。
「行き先は、奴隷調教施設と奴隷処分場です。このクラスの九割の人が将来奴隷を持つと思います。なので奴隷がどのようにして私たちの元へ来るかを学びに行きます。」
私はこの校外学習で何か良くないことが起こる気がした。
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