第2話
授業が終わり、昼休みになると、俺は一人で弁当を食べようとすると、「お兄ちゃん、一緒に弁当食べよう?」と妹の桜が人懐っこい笑顔でこちらにきた。
するとクラスから「チッ」と舌打ちが聞こえてきた。
俺は内心「しまった」と心の中で呻いた。
いつもはクラスメイトにきずかれないように妹と一緒に屋上で弁当を食べていたのだが、授業があまりにも暇すぎて寝てしまった俺は先に屋上に行けなかった。
いつものようにクラスからの男子からの殺気をあびながら俺は「はぁ、異世界でもどこでもいいから別の場所に連れていってくれ」と現実逃避のために別の世界に電波を飛ばす俺。
すると、教室の床を埋め尽くすほどの大きな幾何学模様が現れた。俗に言う魔法陳のようなものだった。
やがて、魔法陳は徐々に光を増していきやがてクラス全体を包み込むほど光が強くなっていった。
俺は両手で顔を庇い、目を閉じていた俺は、周りがざわざわと騒ぐ気配を感じてゆっくりと目を見開いた。そして、周りをただ呆然と見回した。
まず目に飛び込んできたのは巨大な建物だった。縦横数十メートルはありそうなその建物はどことなく教会に似ていた。
俺は教会のような建物から目を離して周回を見てみると、どうやら自分達は草原のように広い庭のど真ん中にいるらしいことが分かった。そして周りには俺と同じように周りを見回すクラスメイト達がいた。どうやらあの時いた生徒は全員巻き込まれたようだった。
俺は周りを見渡して桜を探した。そして、チラリと背後を振り返った。そこには、やはり呆然とへたり込む桜の姿があった。どうやら怪我は内容なので、俺はホッと胸を撫で下ろした。
そして、教会の扉が開いた。おそらくこの状況を説明できるであろう人達がやってきた。彼らは全員白地に金の刺繍がなされた法衣のようなものを纏い、彼らは杖のような物を持っている。その杖の先端は扇のように広がっており、どことなく天秤のような形をしていた。
そう内の一人、法衣集団の中でも異様な存在がいた。黒子のように顔を隠していて、豪奢で煌びやかな法衣を纏っていた。身長は160cmあるかないかの身長で性別は顔の前の布のせいで分からなかった。そんな彼?彼女?は杖をつきながら、性別の解らないの落ち着いた声で俺達に話しかけてきた。
「ようこそ、聖国せいこくへ。勇者様、そしてその同胞の皆様。私たちはあなた達を歓迎します。私はこの聖神教会で教皇の地位に就いております。レイ・エクス・マキナと申します。私情により顔はお見せできませんので以後、宜しくお願いします。」
そう言ってレイ・エクス・マキナと名乗った女性?は、こんな場所では落ち着けないだろうと、混乱の冷めない生徒達を促し、落ち着ける場所に案内した。そこはいくつもの長テーブルと椅子がおかれた別の広間に案内した。イメージは大学の教室の様な感じだ。
案内された広間も例に漏れず煌びやかなな作りで、素人目にも分かるほど調度品や飾られた絵、壁紙は白を基調とし職人の技術の粋を集めたのだろうとわかる。おそらく晩餐会などをする場所なのではないか。クラスメイトは番号順に座ったり適当に座っている。勿論俺と桜は一緒だ。とてもクラスメイトの視線が痛いのだが。
そしてここに案内されるまで誰も騒がなかったのは未だに現実に認識が追いついていないからであろう。また、レイ(名前がからレイと呼ぶ)から事情を説明すると告げたことや、問題児の龍二を落ち着かせたことも理由だろう。
全員が着席すると見事なタイミングでカートを押すメイドさんたちが入ってきた。そう生メイドである!地球さんの聖地にいるようなメイドではなく外国にいるデブメイドでは無い。正真正銘、リアルに働いているメイドさんである。少し興奮した俺にいきなり痛みがはしった。痛むところを見ると桜が俺の足を踏んでいた。その後に桜が不機嫌そうにハムスターのように頬袋をパンパンにした。俺は「どうしたのか?」と思ったのだが答えてくれるはずも無く無視された。ちなみに俺は隠れオタクだ
そして全員に飲み物が行き渡るのを確認するとレイが話を始めた。
「さて、あなた方に置かれましては、さぞや混乱しているでしょう。一から説明しますのでまず私の話を聞いてください」
そう言って始めたレイの話はよくある異世界物のテンプレでどうしようもないものだった。簡単に説明するとこうだ。
まずこの世界はユグドラシルと呼ばれている。そして、ユグドラシルに大きくわけて四つの種族がある。人間族、魔人族、亜人、妖精族である。人間族は中心一帯を魔人族は北一帯を亜人族は南の巨大な樹海でひっそりと暮らしている。妖精族はどこに住んでいるのかも分からなく見たことがあると言う人が少しだけいる幻の種族であるらしい。この内、人間族と魔人族は何百年も戦争を繰り広げているらしく、その力に対して、人間族は数で対抗しているらしく、戦力は拮抗しているらしくここ数年大規模な戦争はしていないらしいが、最近、魔人族がまた戦争を仕掛けるという噂がたっていた。その理由は魔人族は魔物の使役が出来るようになったという。
魔物とは通常の生物が魔人の魔力を取り入れ変質した生物のことだ、と言われているらしいが事実かどうかも自分達にはわからないが、この世界の人達も魔物の生体についてはよくわかってないらしい。それぞれ強力な固有スキルが使えるらしく厄介で凶悪な害獣になっているらしいとのことだ。今までは本能のままに活動する彼らを使役するものは居なかったらしいが、その常識を覆されたのである。これのいるすることは人間族のアドバンテージを崩されるということ、つまり人間族は滅びの危機を迎えているのだ。
「あなた方を呼び出したのは〝ユグド様です〟私達聖神教会で崇める神唯一神でありこの世界を創られし神。私がユグド様の声をきき「このままでは世界が滅ぶでしょう」とそれを回避するためにあなた方を呼びました。是非あなた方には魔人族を倒して貰い我々人間族を救ってください」
突然立ち上がり猛然と抗議する人が現れた。龍二だ
「ふざけんな!!いきなり許可もなく俺達を呼び出しやがって!とっとと元の世界に返しやがれ!!」
「お気持ちはお察ししますが、しかしあなた方の帰還のためには魔王を倒さないと現状では不可能です」
するとクラスメイトのほうからストンと椅子に腰を落とす者や泣き出すもの喚き出す者など周りの生徒達が口々に騒ぎ始めた
「無理だよ!第一に戦ったことないし」
「いやよ!ウソよ!これはゆめよ!」
「戦争なんて冗談も大概にしろ!ふざけんな」
「なんで、なんで、なんでなの」
パニックになる生徒達。俺も平気では無かったが、冷静じゃない者が周りにいると逆に冷静になれた。今だにパニックが収まらない中光輝が立ち上がりテーブルをバンッと叩いた。その音にビクッとなり注目する生徒達。
「ここでレイさんに文句を言っても仕方がない。レイさんにもどうしようもないんだ!戦いで勝ちさえすれば帰れるんだ。だったらついでに世界を救おうじゃないか。レイさん俺達には特別な力があるんですよね?」
「ええ、そうです。ここの者と比べると数倍から数十倍の力を持っていると思われます。」
「なら大丈夫だな俺は戦うみんなのためにも人々を救いみんなが無事に帰れるように。」
ギュッと拳を握り、そう宣言する光輝、さすがクラス委員長みんなの心を一つにするのがうまい。
「今のところ、それしか道は無いよね。だったら私もやる」
「彩綾さや・・・」
「仕方ない俺もとっとと帰りたいし手伝うぜ、ただし邪魔だけはするなよ」
「龍二りゅうじ・・・」
「「「俺達もやるぞ」」」「「「私達もやるわよ」」」
「みんな・・・」
結局みんな参加するのとになってしまった。おそらくみんなは戦争すると言う意味を正しく理解していないであろう。ある一種の現実逃避であるとも言えるかもしれない。俺はそんなことを考えながらそこはかとなくレイを観察した。また突撃足に痛みを感じて俺は桜のほうを見た。今までにないほど頬袋をパンパンにしていた。「あとで何かしないとな」と思う俺だった。
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