第116話 いいじすしすてむ

ブッ


スクリーンが現れる。


「馬鹿め、かかったな!此処には精鋭中の精鋭を配置した。貴様等を泳がせ、その間に戦力を集めていたのだよ。神々の情報、たっぷりと吐いてもらうぞ!」


プレイヤー、数人が映る。


「まきで行きますね」


レインはそう告げると、


ゴウッ ヴァリ ガアアア ゴウウウウ グラアアア チュドーン


無数の魔法が断続的に展開、並行して幾つもの魔法陣が飛ぶ。

1分後。

本来破壊不可と思われる地面すらほぼ無くなり、中央にある大きめのクリスタルのみ元型を留めている。

無論、プレイヤーもユニットも、影も形もない。


続いて、クリスタルが無数の魔法陣に囲まれ・・・青くなる。


「掌握しました」


時短ですね。


--


最後は、魔司書デーモンロード

ちゃんとダリオに働いて貰わないと。


キイイイイイイイイイイイイ


〔イージスシステムが起動しました〕


「ん、何だ?」


俺が呟くと、レインが呆然と言う。


「そんな・・・此処まで来て・・・」


がっくりと膝をつく。

えー・・・


「わふ・・・イージスシステムって、何?」


ダリオが尋ねる。


レインは頭を振ると、


「・・・最強の防御システムです・・・多大なマナと引き換えに、極めて強固なシステム保護を行います」


・・・面倒そうだね。


「わふ・・・?」


ダリオがやや緊張した様子で、続きを促す。


「何と・・・1回パスワードを間違えると、24時間、一切のログインを受け付けなくなるのです」


なっ?!

恐ろしい・・・


「わふ・・・普通3回くらいでロックするのは常識だし、それに大量のマナ使うのも頭が可愛そうだし、名称が明らかに大げさだし・・・」


ダリオが毒を吐く。

いや、でも、実際窮地だからね?


ダリオがじっとこちらを見ると、


「ご主人様、私達なら、この状況を打破出来る」


・・・そういう事か!

ダリオの意図を理解する。


「レイン、大丈夫だ。俺達に任せろ!」


「ご主人様・・・?」


不安気なレインに、笑顔で応えると、


「行くぞ・・・イージスシステムとやら・・・!」


意識を集中する・・・そして・・・


「すりいすたあず!」


パスワードの入力可能回数が・・・1回から・・・3回に!


「なるほど!」


レインが叫ぶ。

だが、まだだ。


「更に・・・だぶる!」


3回が・・・6回に!


「凄い!」


レインが更に強く叫ぶ。


「わふ・・・更に・・・使用回数制限解除!」


これで、6回が無制限に・・・!


「えっ」


レインが何故か呻く。


「そして・・・ねえみんぐ!」


IDとパスワードを強制的に上書き!


「ちょっ」


レインが戸惑いの声を漏らす。

ぽそ、とレインにIDとパスワードを伝える。


フォンッ


レインが管理権限を奪った。

イージスシステムが解除、オペレーションルームに居たサモナー達を拘束。


いえーい


ダリオとハイタッチを交わす。

連携技は気持ちが良い。


「ええ・・・」


何故かレインが微妙な顔をしている。

・・・疎外感?

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