第112話 ぎそうかいじょ

「よくぞここまで辿り着いた・・・と言いたいところだがな。あれを見ろ」


モニターに出てた強面のおっちゃんがドヤ顔で言う。

指し示す方向とは逆側に、強そうなユニットが・・・12体。

更に、ロボットぽいのが多数。


「まさか・・・PT上限撤廃?!」


レインが呻く。

本来PTは6体が上限・・・その上限を超えている。

更に、追加で敵を増やして・・・いや、うちのダリオとか、凄まじい事してたけどね。


「ぴきぃ・・・」


クリーピーがハンマーでロボットを次々と破壊しながら、警戒する様に呻く。


「ぽふ・・・」


壊れたロボットが、パナケアのお腹に収まっていく。


「私達も大分力が戻ったので・・・参戦します!」


ライが宣言するが、クリーピーは首を振り、


「ぴきぃ・・・これはクリーピーの戦い・・・クリーピーは戦闘は苦手だけど、説得は自信が有るのよ!だから・・・手は出さないで!」


宣言する。

パナケアがよだれを垂らして正座待機。

これ、やられたら食われるパターンだ。


「行け!」


おっちゃんの声と同時に、ユニット達が一斉に戦闘態勢を取る。


「これが・・・クリーピーの・・・矜持!」


ボッ


無数に出現する、剣やら斧やら銃やら・・・

剣や斧はそのまま射出され、敵に向かう。

銃や弓などは、何者かが操っているように、弾丸や矢を飛ばす。


一体一体に対し、複数の武器が襲い・・・溶けるように消失していく。

危な気なく倒した感じだ。


あー


大口を開けたパナケアを確保。

ロボットは良いけど、ユニットはやめときなさい。


「・・・負けたよ・・・良い勝負だった・・・実力は拮抗していた・・・次は・・・勝つ」


強面のおっちゃんが言う。

いや、圧倒的な差があったから。


「ぴきぃ・・・良い勝負だったのよ!今回はクリーピーの運が良かったわ!」


クリーピーが応じる。

ええ・・・


「薄氷の勝利でしたね・・・」


レインが汗を垂らしながら言う。

お、おう・・・


「ご主人様、絶妙のタイミングでフォローしたでござるな」


ユグドが感心するように言う。

また俺が活躍した事になっている。


「くくく・・・だが・・・こうしたらどうなるかな?」


強面のおっちゃんは、空の鍵束を掲げると・・・地面に叩きつける。


「・・・鍵が!」


レインが叫ぶ。


「ぴきー?!」


クリーピーが悲鳴を上げる。


「何て事を・・・」


ライが絶句する。


いや、あれただの鍵束の輪っかだし、そもそも鍵って地面に叩きつけてどうこうなる物でもないような・・・

折れ曲がる可能性はあるけど。

・・・あれ、クリスタルなのかな?


「ぴきー・・・!これがクリーピーの本気・・・!」


クリーピーが鍵束を出す。


「馬鹿な・・・物質創造だと?!」


おっちゃんが叫ぶ。

いや、ポケットから出したような。


「良くやったわ、クリーピー!」


レインがクリーピーに駆け寄り、最後の1つを書き換え・・・


「よし、このサブコアも制圧したわ!」


レインが叫ぶ。

うーむ・・・何だか・・・みんな感動的な顔を浮かべてるけど、いまいち盛り上がれないというか・・・


「では、偽装を解除するわね」


レインが言うと・・・

一面の荒野だった外が、切り立った崖、空を飛ぶ神殿、地面が底なしな場所・・・他にも色々と、目がくらっとするようなおかしな地形になる。

どういう事?!


「・・・偽装を解除しましたが、特に見た目が変わらないですね。解除前と同じ、おかしな空間です」


「ぴきぃ・・・」


包帯を巻いたクリーピーが頷く。

え、待って、何時の間に包帯。

それ激闘があったって事?

いや待って、回復魔法で治すから、包帯とか使わないよね、君達。


「どうされました、ご主人様?」


レインが不思議そうに聞く。

待って。

まさか幻覚を見ていたのは俺だけで、実は凄い激闘があったの?

いや、でも、俺が登場人物にいたみたいだけど、俺何もやってないよ。

え、それまでも全部幻覚?


それが分かるとすればパナケア・・・はどうだろ、後は、クリーピーなら分かる筈・・・


クリーピーの方を見ると、クリーピーはきょとん、とした顔をした後、嬉しそうに、そして照れた様に微笑む。

いや、君、普段からそういう態度はとった事が無いよね?


「待って、ちょっと時間が欲しい。何が何だか分からない」


「・・・?次行きますよー?」


レインが不思議そうにしながら、移動魔法を構成する。

待って・・・

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