第111話 すばらしいきてん

「さっき、サブコア・死薔薇デッドリーローズを攻略してきたな?アレもちゃんと私は動向を把握していたのだよ」


教えてやれよ。

仲間じゃないのか。


「此処に貴様等が来るのも計算通り・・・神々の蠢動を阻む偉業は、私が達成するのだ!」


いや、普通に情報共有して、全員で事態に当たれよ。

何で此処で個人の成果を考えているんだ。


「これを見るが良い!」


男が、空の鍵束を出す。

輪っか?


「此処にある鍵・・・これがこのサブコアにおける、制御装置だ。これを我が部下に持たせて各所に配置する・・・全て集めれば、私への挑戦が可能、という訳だ。無論、我が部下を無視してこちらに来れば、鍵が足りない、という事だな」


鍵無いんですけど。


「ご主人様・・・あの男の言っている事は本当です。あの赤い鍵・・・8本全て集める必要が有ります」


レインが後ろから補足する。

ええ・・・


「気をつけて下さい。恐らく、敵は☆8で、ステータスは書き換えられて最大。スキルも増えている可能性が有ります」


やりたい放題だな。


「加えて、こちらが自由に戦えるのはクリーピーのみ。非常に不利です」


「ぴきぃ!」


クリーピーが赤い鍵束をじゃらっと掲げる。

おい、それじゃないのか?


「・・・流石クリーピー縁の地・・・落ちたら大変です、浮遊で飛びながら行きましょう」


ライが注意喚起する様に言う。

落ちるって何処に・・・


--


「ぴきぃ!」


ダンッ ダンッ


クリーピーが宝剣を出現させ、射出。


「はっ!」


敵の勇者が眩しく光る武器で宝剣を叩き落とす。


「流石、勇者ケイロス・・・貫く概念武器を、概念ごと叩き落とすとは・・・」


レインが半ば感心、半ば恐れつつ言う。


僧侶が勇者にバフをかける。

尚、最初は1対1で戦いを挑まれたのだが、あっさり勝ってしまい、今では複数体同時に来ている。

今は敵は5体もいる。


魔法使いの魔法が、クリーピーを包み込んだ。

クリーピーがあっさり躱し、魔法使いの後ろに回ると、チェーンソーを創り出す。

そのまま、魔法使いを両断、消失させる。


「・・・クリーピー!・・・良かった生きてた・・・あれはもう駄目かと思ったわ」


レインが呻く。

ええ・・・

これ、俺一人だけ幻覚見せられてない・・・のか・・・?


着実にクリーピーが倒していき、最後の奴を倒すと・・・


「また一つ・・・」


そう言って、レインが何もない場所に向かって歩く。

クリーピーがとてとて、とレインの前に行き、鍵束から赤い鍵を差し出す。

レインの手が光り、鍵が1本青くなる。

クリーピーがごそごそ、と鍵束をしまう。


「これで支配鍵は5本までが私達の手中に有ります。ですが、管理権限を奪い返すには、8本揃える必要が有るので・・・頑張りましょう。あと少しです」


レインが言う。

時間との戦いなんじゃ・・・まあ、クリーピーが楽しそうだから良いか。


--


剣士が剣を振るうと、光の奔流が迸る。

クリーピーが盾を創り出し、盾が光を抑え込む。


槍使いがあさっての方向に、光を纏って突っ込む。

クリーピーがライフルで槍使いを撃ち抜く。


クリーピーが大剣で剣士に斬りかかるが、剣士の居合で剣を飛ばされ。

新たにハンマーを創り出し、剣士を粉砕。


あさっての方向に撃ち続けるスナイパーに堂々と近づくと、巨大な戦斧を創り出し、スナイパーも沈める。

敵が6体でも余裕があるようだ。


「ハラハラしました・・・無事で良かったです」


ライが安堵したように言う。

ええ・・・


「駄目かと思ったでござるよ・・・神殿のトラップに掛かったときは」


ユグド。

平坦な荒野なのですがそれは。


「剣士に崖から落とされた時はどうなるかと思いましたが・・・ご主人様の機転、素晴らしかったですね。やはり頼りになります」


レインが頷く。

俺も参加してるの?!

後、神殿なのか崖なのか。

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