第110話 しゃくしゃく

「後はオペレーションルームのルートクリスタルだけですね」


陣取り合戦みたいに、取り返されたりはしないのだろうか。

オペレーションルームに到着すると・・・サモナーっぽいおっちゃんが、必死にキーボードを叩き、ディスプレイに齧りついていた。


「お前が簒奪者だな。神々の命令により、システムの奪還に来た。大人しくすれば乱暴な事はしない。降伏してほしい」


おっちゃんはこちらをぎょろりとした目で見ると、驚いた様子で言う。


「貴様・・・何処から来た?外は毒が充満し、1秒と生きていられない筈」


「ぴきぃ、これを食べてみれば分かるのよ!」


クリーピーが外でもいだ林檎?を差し出す。

待て。


「何?どれどれ・・・」


しゃくり。


こぷ、ぱた。


素直に林檎?を食べ、吐血して倒れるおっちゃん。

いや、食うなよ。


レインがあっさり、オペレーションルームのルートクリスタルを支配。


ボウッ


青い光が広がっていく。


「外の毒を解除しました」


レインが報告する。


「・・・何だか、戦闘無しで終わってしまったんだが、パナケア良かったのか?」


「ぽふぅ・・・戦い足りないのです・・・」


パナケアは残念そうに言うと、食糧庫に走り、


もぐもぐ・・・


ゆっくりに見えつつ、実際には凄い速度で食糧をお腹に収め始めた。

ヤケ食い?


このおっさんどうしよう?


パナケアがとてとて、とおっさんに駆け寄ると、


もっ


大口を開ける。

待て待て。

食うなよ?


おっさんの姿が消える。

ホームに送還になったようだ。


「さて、では次に行きましょうか」


レインが宣言する。


シャクシャク


パナケアがルートクリスタル食べてるけど良いのだろうか?

美味しそうだけどね?


「ご主人様、そろそろダリオを離してあげてはどうでしょうか?」


ライがおっとりと尋ねる。

ダリオ?


このぐしょ濡れになってる本?


「わふ・・・死ぬ・・・ひっ・・・死ぬ・・・」


手を離すと、凄い勢いで上昇、


ぽむ


人化する。


「鬼畜、変態、ロリコン!」


「・・・俺は本を触っていただけなんだが」


心外だなあ。

俺はびぶりおまにあ。


もっもっ


パナケアがディスプレイを食べている。


--


次は・・・


荒野。


「ここは?」


「ぴきぃ!クリーピーの力が満ち溢れているのよ!」


宝竜王ゴールドドラゴンかな?


「ぴきぃ、クリーピーは非戦闘員なので、ここでも戦闘は発生しないわ!」


フラグかなあ?


ブンッ


空中にモニターが現れる。

モニターに映った、強面のおっちゃんが言う。


「貴様等、神の手の者だな。私は貴様等の動向を把握しているぞ」


さっきの様に簡単にはいかなさそうかな。

まあ、さっきのは毒の存在が油断を招いた気がするけど。

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