第108話 さんしすいめいのちりべんじ

「セキュリティ上無理ですね・・・最上級の権限へは、いきなりは取得できません。サポートコア全てを掌握した状態で、初めてプライマリーコアへのログインが可能となります。また、サポートコアはそれぞれ独立しているので、別々の管理権限が必要です。つまり、地道にサポートコアから全て権限を奪取する必要が有ります」


いきなり目的の物は入手出来ず、サブを1つずつ攻略しないと駄目かあ・・・あれ?


「でも、端末から気づかれない間に全て奪われたんだよな?」


「はい。オプションを設定すれば、いきなり最上級権限でログイン出来るようになります。また、サブコアにも同じIDとパスワードが設定してありました」


面倒だもんな。


「わふ・・・最早、信念すら感じる」


ダリオが呻く。

褒めてなさそう。


「今はそのオプションがオフになり、サブコアにもそれぞれ別のIDとパスワードが設定されたようです。管理者も分けているようですね」


レインが残念な様子で言う。

面倒な事をするなあ。


「では、プライマリーシステムへの転送を試みます」


ボウッ


レインの周りに無数のディスプレイが現れる。


ログイン・・・試行・・・失敗・・・強制介入・・・強制介入・・・


凄い速度で文字が流れる。

英語で。


ERRORと書かれたディスプレイが現れては消える。

何だか格好いい。


そして・・・


暗転ブラックアウト


着いた先は・・・山紫水明の地。

美しい花々が咲き乱れ、美しい瑠璃色の川が流れる。


「ほう・・・これは綺麗だな・・・」


さて、此処は・・・死薔薇デッドリーローズ


「はい、ご主人様。此処は死薔薇デッドリーローズを根源とするサブコアとなります」


レインが警戒を緩めず、言う。


「この、システム奪還って、神々にも難しいのか?製作者なのに」


何故俺にやらすのか。


「わふ・・・奴等にとっては、児戯に等しい・・・と言うか、そもそも、わざとこの状況を作った可能性も有る」


何・・・だと・・・


「ご主人様がクリア目前・・・と言うかクリア済みなので、手放すのが嫌だったので、コンテンツ代わり」


ダリオが残念そうに言う。

うーむ。


「むしろ、レインはそれを分かってるのに結構ノリノリ。何故?」


「私はナビゲーターですから」


レインが微笑む。

まあ、正直、レインの気持ちは分かる。

俺もクリアすべき物が無くなり・・・でも、もっとこの世界で遊びたいと思っていたから。

・・・タイムリミットがあって、ミスると人類滅びるけど。

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