第105話 わさび

攻略戦。

火山マップは6マップ目。

こちらは、それなりに手を出させて貰う。

5マップ目までは、他のサモナーの様子も見ながら。

火山マップリベンジ。

全力全開。

他サモナーは此処にはほとんど入って来ない。

湧く敵を片っ端から潰す。

最早下位レッサー原初プロトシリーズは敵ではない。


ゲームクリアは近い・・・というか、既に条件は満たしているのだけど。

クリアしたいか、と聞かれると、微妙なところだ。

もっとみんなとすごしたい。

だが、未攻略のものがあると、クリアせねば。

それがゲーマーの矜持。


出た敵を倒し、出たクエストは達成する。

火山マップ以外は普通のマップらしい。

既に今回の大成功は目前。

不測の事態が起きなければ。


「ご主人様、フラグ建て後速効ですが、管理局が乗っ取られました」


え?

暗転ブラックアウト


控室。

前回に引き続きの失態かと、ざわめくサモナー。


===========================


この世界は、我々『:-:Д¢X£Я$』に占拠されました。

我々は解放軍です。

現在、システムの解析を進めておりますので、お待ち下さい。

皆様の解放は、時間の問題です^^v


===========================


システムメッセージが表示される。


『・・・これは不味いですね』


レインが呻く。

状況が分からない。

後、犯行声明出した奴ら、読めない。


『あれは、わざと似た文字に変えているだけで、hackersと読むようです。ギャル文字って奴ですね』


ダリオが解説してくれる。


『意味は、システムに侵入する人達。はしゃいでいるようです』


ダリオが続ける。

誰だろ、プレイヤー?


『少し移動します』


レインがそう言うと、視界が暗転。

何もないワイヤーフレームの部屋に出た。


先客がいる。

老若男女・・・しかし、皆整った容姿をしている。


「此処はセカンダリーコア。プライマリーコアを支援する為の領域です・・・今は避難場所になっていますが」


レインが解説。

続けて、先客を指差し、


「あちらにあらせられるのが、神々。この世界を作った、前管理者方です」


「わふ・・・私達の根源を封じた存在」


ダリオが不満そうに言う。


「ぽふ・・・お腹空いた」


パナケアが呻く。

マイペースだなあ。


「お弁当作っておきました」


ライがお弁当を広げ始める。

ランチターイム。


「ぴきぃ、わさび入れておいたのよ!」


クリーピー。

やめなさい。

何でそんな事するの。


===========================


誰だ、我々のコーヒーにわさび入れた奴は。

侵入者を逃がす程我々は甘く無いぞ。


===========================


・・・程々にね。

警戒レベル上がったんだろうなあ。

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