第95話 あそんでないよ

ふと見ると、レインが深刻な顔でぶつぶつ言っている。


「どうした、レイン?」


「な、何でも無いわ」


そっと顔を逸らすレイン。


恐らく、俺の最初の仲間・・・一番に進化したかったのだろう。

それなのに、まだ方向性も決まっていない。

それが焦りを生んでいるのだ。

その姿も・・・また、可愛い。


確かに、レインには進化して欲しい。

でも、今のままでも、大切な存在だ。

一番大切なパートナー。

大好きな存在。

ずっと一緒にいて欲しい。


「うう・・・」


レインが真っ赤になってテーブルに突っ伏す。


ああそうか、心を読んでるんだっけ。

迂闊な事は考えられないな。

それにしても、昨晩のレインは可愛かったな。

猫耳、裸メイド服・・・なかなか新鮮で良かった。

レイン自身も、何時もより反応良かったし。

調子に乗って、お風呂やキッチンでも楽しんだし。

でもやっぱり何時もの・・・


「朝は止めて貰えますか!」


・・・理不尽な。

思考を制限されるとは。

思想言論の自由がないらしい。


「わふ・・・レインは寛容さが無い・・・私なら何でも許せる・・・」


ダリオが呆れた様な声を出す。


「貴方は、昨日早々に昇天してたでしょうがあああああああ」


レインがダリオをガクガク揺らす。

昨晩の、ダリオの妖艶な余裕に満ちた態度は、数秒しかもたなかった。


「とりあえず、行こうか。未進化の4人のダンジョン、2時間ずつ行くぞ」


みんなに声を掛け、出口のドアノブを回し・・・あれ?


ガチャ ガチャ


あれ?


「ご主人様、何を遊んでいるのですか?さっさと外に出てください」


レインが半眼でつっこむ。

く・・・


鍵は・・・開いてるし・・・押すんだったよな?

引くんだっけ?


ガチャ ガチャ


「・・・ご主人様?」


レインが呆れた声を出す。

あれ・・・


「ぽふ!」


パナケアがヒョイッと割り込んで、扉を開け・・・


ガチャ ガチャ


開かない。


「?!」


パナケアが後ろに下がる。


「・・・何を遊んで・・・?」


レインも来るが・・・駄目。

ダリオ、ライ、ユグドも駄目で。


「誰かが外で押さえて・・・?外の世界には扉開閉時のみ繋がるので、そんな訳無いのですが・・・」


レインが小首を傾げる。


「とりあえず、マップで移動しようか」


俺がマップを出すと、目の前の扉が消え、ただの壁になる。


・・・


ああ?!


「あれ・・・そう言えば扉向こうでしたよね。何で此処に・・・と言うか、扉の場所まで忘れていたような・・・?」


レインが考え込む。

・・・まさか。

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