第65話 きのこのもり

朝。

レインの機嫌をとり、朝食を食べ、レインの機嫌をとり、ダリオを可愛がり、パナケアのダンジョンに向かう。


「ぽふぽふー!」


パナケアが嬉しそうに回る。


「パナケアのダンジョンはどんな感じなんだ?」


パナケアに尋ねると、


「森の中、流れる小川、木漏れ日、映える仲間達!」


パナケアがくるくる回りながら言う。


・・・うん、覚悟しておこう。


ダンジョンに入る。


洞窟。

壁を流れる粘液。

飛ぶ胞子っぽい球体。

ゼリー状のスライムが跋扈し。

床はふわふわの綿・・・カビだろうか。


「ぐふっ」


何かがこみ上げてきた・・・血・・・?

意識が遠く・・・


ゴウッ


ライから光が飛び、意識が戻る。

レインがぴとっと肩に乗る。


「周囲の空間を改変しました。これでご主人様は影響を受けない筈・・・ごめんみんな、私は戦いに参加できないから」


「大丈夫です、レインはご主人様を護って下さい・・・う・・・」


言うライの口から、血がたらっと垂れる。


「ぽふー・・・」


パナケアは必死に状況を打破しようと、苦心しているようだ。


「・・・この毒・・・?こそがこのダンジョンの最大の障害、という事でござるな」


ユグドが言う。


「ぴきー・・・」


クリーピーが苦しそうに呻く。


「く・・・」


ダリオが絶えず魔法を行使、治療の魔法をかけ続ける。

ダリオの頬から汗が流れる。


「これは・・・一旦引き返した方がいいか?」


俺が尋ねると、


「・・・もう少し・・・もう少し・・・頑張る・・・」


パナケアは、周囲の毒を何度も食べ、学習を繰り返し・・・


ぽふっ


パナケアから光の泡が吹き出る。

パーティーメンバーを包む。


「・・・完全に無効化は出来ないけど・・・大分弱く!」


何時も陽気なパナケアが苦しそうだ。

しかし、みんな症状は大分ましになったらしく、さっきまでの様子とは大違いだ。


「よし・・・これで攻略出来たも同然でござる!」


ユグドが言う。


--


「効かないでござる?!」


ユグドが放った剣技を受け流す、漆黒のスライム。


「剣は効きにくいのかな・・・」


俺が言うと、


「不定形特効の、朧切りでござるよ!」


ユグドが半ば悲鳴のように叫ぶ。


ピキ


再度ダリオの放った氷の魔法がスライムの表面を凍らせ・・・


ヴァリヴァリヴァリ


ダリオの放った雷の魔法がスライムを襲う。


ドロ。。


氷の塊から出てくる、黒いスライム。


ゴウッ!


パナケアが灼熱の火炎を吐き出し・・・しかし黒いスライムは逆に吸収するかのように動じない。


ヒュヒュヒュヒュヒュン!


ライが無数に光を放ち、スライムを滅多撃ちにする。

それにも耐えるスライム。


「一応効いてはいるわ。後半分といったところね」


レインが言う。

頑丈過ぎる・・・・


バフッ


突如横から魔物の追加。

キノコの魔物だ。


ゴウッ


毒のブレスを吐く。

まずい!


「距離を取るぞ!」


牽制しながら距離を取り、何とかキノコだけをおびき出し・・・


時間をかけて少しずつ倒し、何とか1つのソウルクリスタルを入手。

ボスからも1つ入手し・・・今日は2個で終わった。


「・・・ボス周回の方が早いかもなあ・・・」


俺が言うと、


「ボスも奇跡的に勝てた感じですが・・・」


ライがぐったりして言う。

強いなあ・・・パナケアのダンジョン。

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