第59話 ほかくしっぱい

「行きますぞ」


NPCである博士と共に、遺跡に入る。

最初のマップでは、この博士の安全を確保しつつ進む。


「パーフェクトプロテクション、アジリティーアップ」


レインが博士に魔法をかける。

かけられるんだ。


ちなみに、ダリオは疲れたと言って本に戻ったので、仕方なく抱えて歩いている。

戦闘が始まったらちゃんと戦って貰わないと、経験値が分配されない。

戦闘貢献度とかで決まり、攻撃に参加している方が多く分配、と言ったシステムだ。

流石にサボってたら経験値は入らない。


「やめ・・・ひっ・・・ごめんなさっ・・・ごめんなさい・・・自分で歩く・・からっひっ」


ダリオが楽しそうだ。


「ご主人様、お楽しみですね?」


レインが呆れた様に言う。


「うむ・・・この表紙、なかなか触り心地が良い。抱え心地もなかなか」


ぺら


ページをめくり、すっと指を滑らせる。


「ひぅっ・・・」


ダリオが飛び上がり、空中で悲しそうにパラパラ・・・とページがめくれる。


ぽむ


人化し、ふよっと浮きながらついてくる。

耳まで真っ赤で、涙目。

可愛いなあ。


「何かダリオに対して異様にSじゃないですか?」


レインが尋ねる。


「いや・・・何というか・・・つい、やりたくなるというか・・・ダリオも楽しんでるじゃん?」


「楽しんでません!」


「じゃあさぼらなければいいと思うんだが・・・」


「うー・・・!」


ライがダリオに尋ねる。


「ダリオさん、浮いてて疲れないですか?」


ライは人化していない時は浮いているが、人化しているときは歩いている。


「これは大丈夫・・・浮くのは疲れるけど、今は重力中和とか姿勢制御とか力場とかの魔法を幾つか操って擬似的に浮いてるだけだから」


ダリオが答える。


「・・・それは普通に浮くより疲れるのでは・・・?」


レインが尋ねる。


「魔法の行使の方が楽」


ダリオが答える。

そういうものかなあ?


「侵入者発見・・・侵入者発見・・・」


機械の兵士がずらずらと寄ってくる。


「まさか・・・実際に稼働している兵器があるとは!」


ジュ


ライの放った光で、兵士達が蒸発する。


「数体は捕獲して欲しい、何かの手がかりが得られるはずだ」


博士が話を続ける。


「あ」


ライが呻く。


「ああ、全部倒してしまったか。気にするでない。次は頼むぞ」


更に博士が続ける。

大丈夫らしい。


次に来た兵士はちゃんと捕獲し、博士が調べる。

兵士に手を加え、兵士に次のマップへと案内させる。

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