第56話 みゅーと

「クランのアジトに行くぞ」


みんなにそう号令すると、クランのアジトへ急ぐ・・・


そこでは、うなだれ、地面に膝を突くエリスと、腕組みで見守る他のメンバー。

あ、少し人が増えてる。


「マスター、来て頂けましたか!」


リュックが嬉しそうに言う。


「・・・一体何が・・・?あと、マスターはエリスだからな」


「・・・流石にこれは・・・俺でもかばいきれん・・・」


ボルカンが力無く言う。


「ううう・・・ごめんなさい・・・」


エリスがううう・・・と悲しそうに言う。


「・・・何があったんだ?」


俺が尋ねると、リュックが、残念そうに言った。


「エリスさん・・・☆6を当てたんです・・・しかも、11連で8種類も同時に」


・・・あー。


「しかも、これじゃ今まで育てた☆5が無駄になるから困る、とか言って・・・素直に喜んでたらまだ許せるのに・・・」


いるよね。

凄い当たりを当てておいて、さもつまらなそうに言ったり、要らないといった雰囲気出す奴。


「・・・11連で8枚って・・・☆6は0.01%の出現率なんですけど・・・」


レインが呻く。

確率低すぎないか。


「く・・・ミュートしてやりたい・・・むしろブロック・・・」


リュックがぶつぶつ言う。


「・・・ほら、みんな、仲間が強くなったし、良い物当てたから素直に祝福して・・・エリスも、当たりを当てたら素直に喜ぼう。嘆いたりしちゃ駄目だよ・・・もしくは、そっと引いたことを心にしまっておくとか」


俺が言うと、


「うう・・・みんな、ごめんなさい。素直に喜んで、☆6育てます・・・」


エリスが謝罪。


「・・・そうですね、流石マスター。分かりました。私達もつい・・・初日という事もあって、貯蓄分も全部溶かしてしまったのでイライラしていました。すみません」


リュックが、そして他のメンバーも謝る。


良かった、丸く収まって。


『成長しましたね、ご主人様。前世で、SNSに複数引きとか当たりとか投稿している人を見る度にミュートしていた人とは思えない素晴らしい言葉です』


『・・・俺だって成長したんだよ・・・』


く・・・レインめ。

マイハウスに戻ったら覚えておけよ・・・あれをああしてこうして・・・


『・・・脳内セクハラはやめて頂けますか』


『人の頭の中を覗くからだろう。覗かなければ良いじゃないか』


『・・・貴方の考えている一片、一片が、私にとっては至福なのです。好きな人の台詞、一片足りとも聞き逃すのは、耐えられません。貴方の考えを読むのを辞めるなんて・・・出来ません』


『・・・くっ』


レインめ・・・

さらりと爆弾落とすな。

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