第54話 さわさわ

とりあえず進化させよう。


ダリオ

 種別:ハイフライングブック

 ランク:☆3(☆4)

 レベル:1/80

 スキル:

  全魔法(☆4)

  無詠唱(☆4)

 PTスキル:

  経験値アップ(100)

 武器:

  なし


おー、経験値アップなのか。

100・・・100%アップなのか、100上がるのか・・・


「よろしくな、ダリオ」


再び話しかけるが・・・動かない。

ベッドの上にちょこん、と乗ったままだ。


「あれ・・・?」


「喋れないのでしょうか・・・?」


レインが小首を傾げる。


「ぽふー?」


パナケアがひょい、とダリオを持ち上げる。


「とりあえずもう一度進化させよう」


ダリオ

 種別:アークフライングブック

 ランク:☆3(☆5)

 レベル:1/150

 スキル:

  全魔法(☆5)

  無詠唱(☆5)

  召喚(☆5)

 PTスキル:

  経験値アップ(300)

  使用回数制限解除

 武器:

  なし


・・・強そうだけど・・・?

動けない?


「・・・動けないのなら仕方がないですね・・・戦闘能力は有りそうですか?」


レインが尋ねる。


「PTスキルで、経験値アップと使用回数制限解除っていうのがあるので、PTにいるだけで効果はあると思う」


「なるほど・・・半武器、半ユニット的な扱いなのかも知れないですね。ご主人様が持って戦う、的な・・・?スペルカードの使用回数制限が解除されるので、サモナー自身が戦いに参加するという・・・」


なるほど・・・スペルカードが強力な人には良さそうだけど、うちは関係なさそうかな。

パナケアからダリオを受け取り、小脇に抱えてみる。

うん、なかなかしっくりくる。


パラパラ、とめくると・・・うむ、何か様になる気がする。


「ひゃっ」


ん?


「今可愛い声出したの誰だ?」


見回すが、全員首を振る。

おかしいな。


それにしても・・・手触り良いな。

この表紙の絶妙な手触りが・・・


「ううう・・・」


泣きそうな声がする。


「・・・やっぱり誰かいる・・・?」


きょろきょろ見回す。


「ダリオ殿・・・今喋ってた気がするでござる?」


ユグドがぽそっと言う。


「・・・ダリオ、喋れるのか?」


尋ねるが、


「わふ・・・本は喋りません」


そうだよなあ・・・喋らないよなあ。


さわさわ・・・


表紙をなで・・・背表紙をなで・・・表紙をめくってその裏側を撫で・・・


「ひゃああっ」


びくぅ、とダリオが震える。

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