第13話 てきをましましそーれそーれ

「罠解除の見せ所がないのでござる」


ユグドが残念そうに言う。


「さて・・・とりあえず進もうか。出来れば敵と多めに当たるといいけど」


俺が言うと。


「じゃあ、敵をマシマシにしますねー!」


パナケアがちゃかちゃか踊り出す。


「ん、そんな事できるのか?」


「ですです!エンカウント率操作、ですね」


匂いとかそういうので寄せるのかなー。

逆にエンカウント率を下げる事もできるのだろうか。


「そんなスキル聞いた事ないんだけど・・・」


レインがまた呻く。


敵が寄ってくる。

スケルトンパイレーツが3体。


「蹴散らしてあげるわ」


レインが構える。


シュッ


スケルトンパイレーツ3体が両断され、崩れ落ちる。

ユグドが駆け抜け様に切ったのだ。


「峰打ちでござるよ」


峰打ち・・・?


レインが、使い所のない魔法を弄ぶ。


ギイイイ


ゾンビが、パイレーツスケルトンが、ボーンフィッシュが、迫る。


「ぽふー!」


パナケアが踊りながらぱーんち、きっく、で敵を吹き飛ばし・・・敵はそのまま動かなくなる。


「それっ」


ライが無数に光を放ち、敵が貫かれ、散る。


強いじゃないか。


「・・・えっと・・・」


レインが、出した魔法をお手玉のように、右手から左手、左手から右手、と移している。


「・・・パナケア・・・出現率もっと上げられる?」


レインが尋ねると、


「できるよー!」


ちゃかちゃか、とさっきの不思議な踊りを踊り・・・


ザッザッ


10体近いスケルトンパイレーツ、5体程のスケルトンメイジ・・・ぞろぞろとやってくる。


「ライトニングボルト!!」


レインの放った雷が、数体まとめて消し炭にする。


「ぽふぽふー!」


「峰打ちでござる!!」


パナケアとユグドが敵の懐に飛び込み、蹴散らす。


「そーれ、そーれ」


ライがかけ声と共に放った光が、二人の隙間を縫うように飛び、敵を倒す。


「・・・何かライの攻撃・・・スキル・・・?便利ね」


レインが呻く。


「☆5魔法、ソーラーレイ、レインさんもそのうち使えると思いますよ?」


ライが慰めるように言う。


ぶっ、レインが吹き出す。


「☆5魔法を何で☆4で使えてるの?!後、何で詠唱を省略できているの?!と言うか、魔法名すら省略してるって何事?!格下魔法ならともかく、格上魔法で?!と言うかかけ声じゃなかったの?!」


レインがライを掴も・・・うとしてスカッと空振りしつつ、一気に言い募る。


「光の精霊ですから」


ライがにっこり微笑む。

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