第2話 死んでなお、試練。
「……」
ここはどこだろう?
自身の部屋でないことは確かだが、他にはどこも思いつかない。
よく言う見たことがない天井…というやつだろう。
まぁ、そんなことはどうでもいい…俺はやっと、嫌な現実から逃げることが出来た。
戦えとか向き合えとかそんな精神論叩くクソみたいな大人もここにはいないことだろう…。
はぁ、俺はやっと、トリカゴの中から抜け出すことが出来たのか。
「……生まれ変わりたいとは思わないけど、出来ることなら人間だけは嫌だな…どっかそこら辺の猫にでもなってのほほーんと暮らしたい」
「困るんですよねぇ、勝手に自殺とかされると」
いきなりのことで驚いたが俺は声のするほうを見てみることにした。
そこに居たのは、童女という言葉がよくに合いそうな幼い女の子だった。
「え、えっと…君は?なんでこんなところに子供が…」
「お嫌いですか?」
「好きではない…かな、うるさいし、すぐ泣くし、だいたいその守ってもらえるって目が気に入らない」
「ほうほう、相当ひねくれておられますね?よほど辛い人生を送っていたのでしょう」
こいつは俺の嫌いなタイプの人間だ、そう、俺が理解するのにそう時間はかからなかった。
「お前…なんか隠してるだろ?」
「はい?何のことでしょう?」
「つまらない嘘はつかないでくれ、俺は死ぬ前は人の顔色をうかがって生きてきたからね……その人が何を考えてるか大体わかるんだよ」
「いえいえ〜滅相もない!」
正直気持ち悪いと思った。
なんだこの喋り方…死ねばいいのに。
なんだこいつ…死ねばいいのに…。
俺のことを完全に見透かしたようなこの目が気に入らない!
そう思った刹那、俺は童女の首根っこを掴んでしまっていた。
「……はっ!」
無意識だった。
こいつはここでどうにかしておかないと…そう俺の無意識が訴えたのだ。
「…っ!?」
「……いきなり何かましてくれてんですかぁ!」
そんなこと考えていると何食わぬ顔でこちらを見つめ、首根っこを掴んでいた俺の手をグリッと捻って脱出した童女はケロッとした声で言った。
「っ!…お前…化物かよ…」
「いやいや、あなたのその申し訳程度の絞め技で私を泣かそうとか、怪我させようとか思ってたんですか?…はっ、ふざけんな」
「え…?」
「んなカスい攻撃で倒せるわけねぇだろうが、相手が誰か考えて初めて行動ってのは移せるもんだろ?」
あまりの変貌ぶりに俺は声も出なかった。
さっきまで敬語オンリーで会話していた童女がこんな…。
「あ、そうそう、お前私倒すまでここから出られないから、それまでは死んでも死なないけど、死ぬほど痛いから覚悟しとけよなぁ!!!」
俺は今二度目の死を迎えようとしているのかもしれない。
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