第135話 無事?到着
気がつくと。
見覚えの無い洋室だった。
よくある安物フローリングの部屋だ。
回りを見てみる。
俺の他会長、春日野、栗平が倒れていた。
4人を結んだロープはほどかれている。
という事は誰かが関与したという事だろう。
ただ、今はこの部屋には誰もいない。
保養所に無事ついたのだろうか。
ただ少なくともここは保養所の客室ではない。
あそこの客室は確か全部和室だった筈だ。
さて、とりあえず3人とも普通に呼吸はしている。
なら回りの状況把握だ。
この部屋の広さは6畳程度。
出口は見たところ4箇所もある。
どれから調べようかな、と思った時だ。
「トイレは左の扉だ」
聞き覚えがある声がした。
「楓さん」
「会長も無茶するな。この状況で男子3人も連れてここまで跳ぶなんて。僕には無理だな」
楓さんはそう言って肩をすくめてみせる。
「この紐をほどいたのは楓さん?」
「いいや、僕じゃない。予想はついているけれど取り敢えずは言わない」
楓さんはそんな事を言って、そして続ける。
「注意事項だ。出来るだけこの部屋を動くな。隣のトイレと洗面所、あともう一つの扉の先に簡易キッチンがある。そこで我慢してくれ。
その辺りまでは一応僕がシールドをかけている。その中にいる限り、普通の魔法使いならここに3人が来たことに気づかないだろう。まあ魔力が極端に高い一部の先輩方にはシールドも無意味だが、まあその辺の皆様は色々わかっているから黙っていてくれると思う。
それじゃ会長は預かっていく。何か用事があったら僕か会長のスマホにメッセージ入れてくれ。飯はちゃんと手配する」
そこまで楓さんが説明したところで。
「ん、楓……」
栗平が反応をした。
まだ起きてはいないようだけれど。
「本当は颯人と色々話し対しイチャイチャしたいんだけどさ。諸般の事情で今は出来ない。そんな訳で後はよろしく」
「ちょっと待ってくれ、此処は何処なんだ」
楓さんに聞いてみる。
「ここは保養所の2階、旅館だった頃の宿直用の場所だ。つい扉3枚先に執行部の連中が泊まっている。だから出来るだけ静かにしていてくれ。シールドはかけているけれど。
それじゃ」
楓さんは姿を消した。
気づくと会長も姿が消えている。
楓さんが連れて行ったのだろう。
さて、ここが保養所とわかったところで。
取り敢えず洗面所とトイレ、キッチンの確認だけはしておくか。
僕は立ち上がり、扉のひとつを開けてみた。
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