第6章 春日野の決断、杏さんの決断

第127話 ヤクをくれ!

 さて。

 合宿の次週は水曜日が祝日。

 そして土曜日から来週の水曜日まで魔女の皆さんは合宿。

 今度は魔女オンリーでやるから僕達は列外だそうだ。


 つまりGWは久しぶりに平穏な休日が続く。

 この付近は何も無いけれど、たまにはぼーっと過ごすのもいいだろう。


 そんな訳で。

 通販で本を5冊買いこんで。

 バスで出発の魔女の皆さんを特別科寮の前で見送って。

 その後で近所のスーパー、セルパで食材等も買いこんで。

 まったり引きこもり生活に入った。 


 そのまま起きたい時間に起きて、本を読んで。

 腹が減ったら適当に飯を食べて。

 眠くなったら寝る。


 そんな生活をして3日目。

 5月4日月曜日の朝だった。

 スマホが鳴った。

 SNSのメッセージ受信だ。

 読んでいた本を置いて見てみる。


『すまんたのむ』

 本文はそれだけ。

 なお春日野からだ。

 何だこれは。


『どうした』

 反応が無い。


 何が起きているのだろう。

 時間は朝8時半。

 何も無ければ奴は寮の自室だろう。


『様子を見に行く』

 それだけ入れて、そして一応外に出られる格好に着替えて部屋を出る。

 春日野の部屋は寮の1階上。

 402号室だ。


 取り敢えずドアをノック。

 反応が無い。

 ノブをひねると開いていた。


 ドアを開ける。

 ベッドから伸びて落ちている布団。

 そして通路で途中で倒れている春日野だ。


「大丈夫か」

「多分」


 いや大丈夫じゃ無い、絶対。


「キッチン、野菜ジュース、頼む」

 何をと思ったが、とりあえず言われたとおりにする。

 おいてあったパックの野菜ジュースを1個取り、ストローをさして渡す。


「悪い」

 春日野は何とかという感じで野菜ジュースに顔を近づけて。

 ストローでゆっくり吸い上げて飲む。

 半分くらい吸って、そして。


「悪かった。ちょっと復活」

 急に話し方が普通になった。

 そして野菜ジュースのパックをちゃんと手に取り、普通にストローで飲んで。

「よし、ほぼ回復」


 おいおい何だそれは。

「何かその野菜ジュースに麻薬でも入っている訳じゃ無いよな」

 症状的にやばそうだったので聞いてみる。

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