第122話 怪しいゼリーは効果抜群

 部屋に戻って袋の中の紙を3人で読む。

 なお楓さんと栗平は戻っていない。

 まだお風呂でマッサージ中(自称)らしい。


「ゼリーの色によって込めてある魔法が違う訳か」

「そしてゼリーを食べて素直に魔法を出せたら、その魔法に適性があると」


 なるほど。

 市販のみにゼリーに魔法薬作成機を使って色々な魔法を封じ込めた訳か。

 一応注意書きも読んでおく。


『適性があわない魔法を取り込んだ場合、一時的に体調を崩す可能性があります。また摂取量は1時間につき2個までを限度にして下さい』


 これって何気に危険なのでは……

 作っただけで、安全調査などやっていないだろうし。

 でも。


「黄色が電気で、透明が時空間操作か。あと高熱ももう少しマスターしたいかな」

「予知が欲しいから時空間と、あと知識も試したい」


 2人とも説明等読まずに自分の欲しい能力のゼリーを探している。


「大丈夫か。体調を崩す恐れがあるって書いてあるけれど」

「どうせ市販のミニゼリーにあの魔法薬作成機を使っただけでしょ。大丈夫よ」


 本当かなあ。


「正樹も試そう。どんな魔法がいい」


 あ、確かに使えると面白いよな。

「なら知識と物質加工を」


 という事で。

 未来さんが時空間操作と電気。

 理彩さんが時空間操作と知識。

 僕が知識と物質加工を選択した。


「それでは、いただきます」

 と3人で2個ずつ食べたところで。


「うん、電気は出来る。加速は余裕、でも移動はちょっと……うーん」

「知識は適性有り、時空間は適性無しか」


 そして僕は。

 ちょっと視界が変わったような気がした。


 そして何となく理彩さんを見たところ。

『喜多見理彩、寂しがり屋、自分に対する好意あり(中)、但し友人として……』

 ばーっとデータらしきものが見える。

 慌てて目を外す。

 これが知識かな。


 では加工。

 胸ポケットに挿しているボールペンを取り出す。

 知識の魔法のせいか色々構造だの太さだの材料だのがわかる。

 そしてペン先のでこぼこを少し滑らかに加工。

 お、簡単。


 更に色々試そうと思ったところで。

 ふっと視界が暗くなる。

 強烈なめまいのような感覚。

 何だこれは。


「魔力切れ。魔力無いのに魔法を使ったから。今はゼリー分の魔力が切れた結果。しばらくそのままにしていれば治る。大丈夫」

 なるほど、これが魔力切れか。

 何とか両手を下について踏ん張る。

 まだ色々ぐらぐらしているけれど何とか持ちこたえる。


 不意に、すぐ横に未来さんの気配を感じた。

「正樹、大丈夫?」

 何か今、未来さんが急に現れたような。


「未来、瞬間移動使えている」

「えっ!」

 本人は全く気づかなかった模様。

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