第121話 あとは色々事後処理を

 楓さんのナイフもやはり会長を捕らえるのは無理なようだ。

 5本程が地面に突き刺さる。


「本当は脱がして色々試したいのです。でも余裕がなさそうなので失礼するのです」

 そんな台詞を残して最強最悪最低は姿を消す。


「あれは確かに最強だな。僕にも理屈が理解出来ない」


 楓さんの台詞にうんうんと理彩さんも頷く。


「時々本当に攻撃を受けている事もある。それでも自由に復帰出来る。あれは私にも理解出来ない」


「再生とか修復魔法が異常なんじゃないの」


「そういう次元じゃないんだ。例えば朝に未来がかけた冷凍魔法、あれは間違いなく全身にかかった筈だ。あれから全身修復とかはどうやっても数時間以上かかる。あんな一瞬で復活出来る筈は無い」


 そうなのか。

 単純に魔法がとんでもないという枠では無いのか。


「いや、魔法には違いないんだ。ただ僕の知っている範囲の魔法で無いだけで。それから見ると歩美さんの魔法はまだわかりやすい。万能属性の低レベル魔法を自動発動させているだけだしさ。完璧なタイミングで相手魔法の逆属性を突いているだけ。まあそれもとんでもないんだけれどさ。

 さて颯人、行くぞ」


「何処へ」


「汗をかいたから風呂へ」

 まさか。


「ついでにいちゃいちゃしに、か」


「このままだと全身筋肉痛になるからな。颯人にマッサージをお願いするだけだ」


 何気に否定していない。

 おいおい。


「まあ18禁の行動は慎しんでおくから大丈夫だ。じゃあな」


 いや待て栗平。

 全然慎んでいないだろう。

 全く。


「さて、私達はどうしようか?」


 顔を見合わせた処で理彩さんが。


「ロビーの展示片付け、試合等の影響で進んでいない。手伝いを欲しがっている」

 という事で。

「仕方ない。暇だし手伝いに行くか」

 という事で玄関から入ってロビーへ。


 理彩さんが言うとおり、杏さんと春日野が2人で少しずつ展示等を片付けていた。


「手伝うよ」

「悪い、頼む」

 という訳で、貸出終わりの杖とか色々をしまう手伝いにかかる。


「いや、杏さん以外の2人はテニスと卓球それぞれやっているしさ。同じ部屋の2人は開発関係ないから頼むの悪くて」


「はいはい。それで測定機は最後まで残しておいていいの」


「ああ、あれは午後出る前にやる。使用見本の杖も2本置いておいて」

 つまり展示パネルと魔法飲料作成機が中心だ。


「それにしてもこれが狙われるとは、春日野も出世したな」

「やめてくれ。こっちは襲われても魔法使えないんだ」


「大丈夫。秋良の方が私より強い。秋良なら腕力で魔法に対抗出来る」

「杏さんまで」

 そんな下らない事を言いながら片付けて。


 まだ並んでいる測定機と魔法杖返却用の箱を除いて、ほぼ片付けが完了。

 来た時と同じ箱に入れて台車に乗せて。

 一通り終わったところで。


「お礼」

 杏さんが小さいパック入りのおやつっぽいゼリーが入った袋をくれる。


「これは?」

「千歳さん開発の魔力適性判別用ゼリー。説明入り」


 見ると袋の中に何か紙が入っている。

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