第112話 臨時ニュース
理彩さんと、あと栗平は既に食堂にいた。
取り敢えず理彩さんが確認出来てほっと一息。
たださっき名前が挙がっていた楓さんはいない。
「理彩さん、大丈夫?」
取り敢えず確認。
理彩さんは頷く。
「ごめん」
「気にしていないからね」
これは未来さんだ。
そして。
「よ、悪いな。先している」
栗平がいつも通りの声でこっちに向かって軽く一礼した。
ちなみに楓さんの分は栗平の横に取ってあり、ラップがかかっている。
「楓さんは」
「用事があるって。だから大人しく待っている」
僕と春日野は顔を見合わせ、頷く。
栗平はあえていつも通りを装っている。
つっこむのも一つの手だ。
でも明里さんのさっきの言葉や様子を考えると。
「ここはあえてスルーが正しいか」
これを言葉に出して言っておく。
「助かる」
栗平には通じたようだ。
そして。
「取り敢えず何人か遅れていますが、先に夕食にしたいと思います。なお、夕食終了後は予定を変更して、この食堂にとどまりいただけますようお願い致します。なお現在進行中の事態については、19時30分より説明を行う予定です」
沙霧さんの案内が入る。
やはり何か起こっている。
そして僕の記憶に何かが引っかかっている。
けれど。
「大丈夫。執行部の連中と歩美と、あと引率責任者を信じておいて」
明里さんがそう言うので。
何か引っかかったまま夕食を取りに行く。
なお本日はチキンカレーだ。
カレーと御飯は別盛り。
ついでにサラダも別盛り。
足りない方をおかわりしろという事だろう。
「なお、いない人の分は一応テーブルにとって置いて下さい。いない人のおかわり分は別に取ってあります」
おかわり分キープというのはある意味至れり尽くせりだろう。
でも何か嫌な予感がするのだ。
他のテーブルもいつもと違う感じのざわめきが感じられるような。
気のせいかもしれないが。
そして。
「食事途中ですが臨時ニュースです。現在時、予定より30分早く敵と接触しました。そのため関係情報を公開します」
聡美さんの放送が入ってきた。
「本日午後2時過ぎ、歩美さんと副学園長の間の連絡が途絶えました。歩美さんと執行部による調査確認の結果、この学園の魔法体制に反対している守旧勢力の攻撃の可能性が高いと判断。藤沢先生に報告後、非常態勢を張らせていただきました。
現在、歩美さん、会長の2人組が敵主力の接敵、また遊里さん、楓さんによる誘導班が残敵の警戒をしています。藤沢先生は独自活動中の模様です。
なお保養所外には藤沢先生と会長による鬼門遁甲陣が張られております。内部から外に出るのは支障ありませんが、外から内部に戻るのは困難です。宜しくお願い致します」
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