第106話 午後の部に入ります

 交代で御飯を食べて。

 終わった順に片付けていって。

 午後1時10分には片付けも含めて終了した。


 そしてまた僕、未来さん、理彩さんの3人行動に。

 午後の予定は未来さんの試合があるだけ。

 午後2時から第2会場で卓球。

 午後3時からテニス第2回戦。

 午後4時40分から卓球の第2回戦(勝っていれば)。

 午後5時20分から模擬試合だ。


「何かハードだな」


「両方の試合に出て、模擬試合も申し込んでいるとね。しょうがないかな。でも楓と明里さんの試合が見られないのが悔しいかな」


「あれは見ても多分わからない」


「そうだと思うんだけれどね。前に見た舞香さんの試合も結局普通の卓球にしか見えなかったし」


「そんなもの」


「で、どうする?私はこんな感じだから余り遠くに行けないけれど」


 あと30分で試合だ。

 なお第2会場とは1階の食堂のこと。

 つまり、今いるところだ。

 今はテーブルと椅子を寄せて真ん中に卓球台を置いている。


「部屋にいるのも何だし、ロビーで時間を潰す?」


「賛成」

 という事で、階段を上がる。


 展示の方は朝程では無かったがそこそこ人がいた。

 説明担当は不在。

 説明板と機械展示とお試し杖と測定コーナー。

 お試し用の杖は数本戻って来ている。

 魔法効果測定機も待ち人数はそれぞれ2人。


「ちょうどいいわ。借りてみよ」

 未来さんが手に取ってみる。

 軽く調整して、握り直して。


「お、これはなかなか。正樹には申し訳無いけれど初期型とは段違いだわ、これは」

 そして測定機から1人出てきたのをめざとく見つけて並ぶ。


「理彩も試してみようよ。いつもの魔法以外の魔法の力も上がるし面白いよ」


「わかった」

 理彩さんも一緒に並ぶ。


 ちょっと僕は安心。

 以前は理彩さん、魔法杖は自分には必要ないと言っていたから。

 少しは色々と変わってきているのかな。

 そんな事を思う。


 2人が終わるのを待ちながら魔法杖の説明書きを何となく読んでみる。

 どういう仕組みかは読めば何となくわかった。

 僕が作った段階ではアンテナ程度の代物だった魔法杖。

 今はむしろレーザー発振器に近い構造になっている。

 構成しているのが電子部品ではなく魔方陣を描いた銀の板だったりガラス球だったり、そのくせコイルだのコンデンサだの見覚えある電子部品っぽいのがあったりと。


 杏さんと春日野の知識の合作だというのが見るだけで納得出来る。

 全く違う方向性の部品が奇跡的に繋がっているような感じ。

 まあ本人達に言わせれば理論上こうなったという産物なのだろうけれど。


 さて。

 測定機から2人が出てくる。


「どうだった?」


「最高!」

 これは未来さん。


「悪くないな、これは」

 理彩さんも笑顔だ。


「既に20本作っているんだから、あとこの倍作れば学校内に行き渡るわよ」


 いやそれはきっと無理だ。

 何故ならば。


「その頃にはきっと最新型でもっと性能のいいのを作っているんだろ、杏さんと春日野なら」


「確かに」

 理彩さんが頷く。


「でもそれじゃ、いつまでたっても終わらないじゃない」

 未来さんの抗議。


「そんなものなの。それよりそろそろ試合じゃないか」

 ちらっと時計を見ながらそれを告げる。


「そうだった!」


 ダッシュで階段を降りて行く未来さんを見ながら。

 僕と理彩さんはお互い顔を見合わせ苦笑して、後を追った。

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