第94話 夢の内容は秘密です
そして。
睡眠の時間がやってくる。
出来れば壁際の廊下側が希望。
でも魔女相手だとそうもいかない。
「ここは論理的にこんな感じだな」
「是認」
「まあしょうがないわね」
そんな感じに布団順は女子3人で決められる。
結果は窓側から順に栗平、楓さん、理彩さん、僕、未来さん。
「いいな柿生、両手に花で」
良くない。
そしてそう思った人がもう1人いた。
ズサッ!
「私1人では不満か」
「めっそうもございません」
栗平の背後の壁にまたもやナイフが刺さっている。
まあそんな訳で、僕は理彩さんと未来さんに挟まれる形だ。
右を向くと未来さん、左を向くと理彩さん。
寝れない。
上を向いたまま固まっても、呼吸音とか気配とかはある訳で。
別に未来さんや理彩さんが嫌いという訳では無い。
2人とも全く違うけれどそれぞれ可愛いし。
むしろ好意を持っていると言ってもいい。
どちらが、というのはまだ無いけれど。
ただ、それだからこそ風呂とかこういう時とかは厳しい訳だ。
いわゆるひとつの健康な青少年としての生理的な色々で。
くすっ。
左側から小さい笑い声が聞こえた。
理彩さんだ。
「しょうがない。手を貸す。未来まだ起きているか」
「ええ」
「正樹が眠れそうに無い。そっちで手を繋いで。こっちもそうする」
「でもそれってもっと眠れなくなるんじゃ無い」
「じっくり眠れる魔法をかける。3人一緒に」
何かトラップとか無いよな。
でもするべきアクションを考える前に。
既に左右の手が掴まれてしまった。
「それでは夢の世界でまた会おう」
何か最近理彩さんよく話すようになったな。
そう思いつつ。
すっと意識が薄れた。
◇◇◇
翌朝。
目が覚める。
何かいい夢を見ていたような気がするが、覚えていない。
気づいてみると両隣はいない。
向こう2人は爆睡している。
そして。
完全に起きてみて、ふとまずい事に気づいた。
なのでささっと下着とタオルを持って風呂へ。
小浴場は誰もいなかった。
なのでささっと入って鍵をかけて。
ほっと一息つく。
ここまで急いだ理由は簡単。
パンツがちょいと濡れていた。
いわゆる夢●という奴だ。
今までこんな事をしたことは無いのだが、よりによってこんな場所で。
さっさと身体を洗って着替えて。
風呂を出て部屋に戻る。
布団を確認……無事だった。
セーフだ。
布団を自分用だけそそくさと畳んで。
ついでに横の窓を換気の為に少し開けたところで。
女子2人が戻って来た。
タオルとかを持っている処からして、朝風呂のようだ。
「悪い。夢だと思って調子に乗りすぎた」
何のことだろう。
「覚えていなければそれでいい」
「全くよ」
「悪い。反省はしている。でも現状がわかったから後悔はしていない」
「五分五分というところね」
「認める」
何があったのだろう。
「わからない方がいい」
「そうね。思い出そうなんて思わないでよ」
何だろう。
何かわからないけれど。
でもまあいいか。
こうして合宿事実上の初日が幕を開けた。
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