第81話 合宿は大丈夫か?

 その後。

 次の合宿の件について。

  ○ 確実にマイクロバスの定員をオーバーするから2往復すること

  ○ 水曜日に舞香さんの魔法で人員を割り出し、業務用スーパーに食材を注文すること

  ○ 保養所の部屋数と収容人員数は大丈夫。部屋割りは木曜夜前に作成し金曜日に特別科棟と寮に掲示すること。なお普通科の参加者には金曜日に配布。

  ○ 各大会の賞品を何にするか。

等を何となく話し合う。


 ただ細かい部分の決定には至らない。

 こういう会議の時に必要な情報担当がいないからだ。


 そして。

 会議が膠着したのを見計らったかのように。


「こんにちは」

 舞香さんが戻ってきた。


「お疲れ様」

 というねぎらいの後。


「ねえねえどんな男だったのですか。身長体重体型に顔の評価。性格等はどうなのですか?」

「その前に承認かどうかを聞いた方がいいんじゃないでしょうか」

 会長の質問と遊里さんの突っ込み。


「そうですね。なかなか面白い組み合わせでした。なお明里ともども承認で合意。現在2人は寮の部屋にいると思います」


 承認か。

 栗平、良かったなと思う反面、大丈夫かという疑問もある。

 栗平はああだし、相手も色々問題あるみたいだし。


「よし、早速愛の巣を覗きに行って……」

 会長、台詞の途中で倒れる。


「馬に蹴られろ」

 台詞からして、加害者は麻里さんだ。


「詳細はこの次の合宿でじっくり観察して下さい。どうやら楓さんは参加する気のようですから」

 舞香さんはそう説明するけれど。


「理解出来ない」


 これは理彩さんだ。

 でも舞香さんは頷く。


「合宿の件ですね。1人なら楓さんも参加しなかったでしょう。楓さんには楓さんなりの思惑があるようです。ここは彼女の意思を尊重したいと思います」


 あの栗平が、女子ばかり参加の合宿に参加。

 大丈夫なのだろうか。

 でもその心配の前に、一つ気になった事を聞いてみよう。


「ところでこの審査ってどうやるんですか。面接ですか?」

 舞香さんは首を横に振る。


「形式は決まっていません。

 今回は楓さんに指定したとおり、学校庭園を歩いていただきました。その上で明里と私で観察して相談。承認すべきと判断しましたので庭園を出た場所で許可証のバッチをお渡ししました。

 相手の颯人さんの方は審査をした事自体、気づいていないでしょう。必要なのは私達が視る事が出来る場所と、2人で相談できる30秒の時間。それだけですから」


 それならば。

「僕の場合は?」


「初日ここへ来る途中、明里が確認しています。私は最初から大丈夫と認定していたので、明里の判断だけです。

 普通人に見えないように隠れるのは魔女の得意技ですから。

 秋良さんの場合だけは事後承認ですね。ですから場所がわからないよう魔法を使って開発部にお連れした訳です」


 なるほど。


「魔女の過半数は普通の人間を怖がっていますからね。それなりの用心なり措置なりはまだまだ必要です。

 ただそれでも、雰囲気は急速に変わりつつある感じはしています。

 さて、合宿の細部事項を詰めましょうか」


「是、会長を戻す」

 麻里さんがそう言って。


「ううー、また邪魔が入ったのですよ」

 と会長がよろよろ復活する。

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