第79話 違う意見が混ざったような……

 放課後。

 浮かれている栗平が出ていった後。


 いつものように春日野と特別科の方へ歩きながら。

「栗平の彼女、どう思う」

 春日野に聞いてみる。


「2割詐欺、9割魔女ってところか」

 計算が合わない。


「1割多い理由は?」

「魔女による詐欺だ」

 なるほど、納得した。


「どっちにしろ本人がああだとどうしようもないだろう。せいぜいM組に伊勢原って子がいるかどうか聞くくらいだ」


「そうだな」


 何せ騙されてもいいなんて言っている位だ。

 引き離すのは無理だろう。

 そんな事を考えながら階段を登って2階へ。

 ノックしていつもの準備室に入る。


「あれ、舞香さんは」

 いつも当然のようにいる舞香さんがいない。


「今日は寮務委員会の仕事。特別科施設に一般生徒の立ち入り許可申請が出たから、その相手の査定に行っている」

 立ち入り許可申請?


「それって一般生徒の側から出せる物なんですか。そもそも一般生徒は特別科の存在を知らないんじゃ」


「出したのは特別科の1年生だ。友人であり食事等を一緒にしたいという名目だな」


「それって僕のも出してあるんですか」


「正樹も秋良も出してある」

 まああの2人なら充分話しているしな。


 ん、待てよ。

 一般生徒の立ち入り許可と言えばだ。

 何か嫌な予感がする。

 まさか違うだろうとは思う。

 でも一応聞いてみる。


「申請を出したのって、伊勢原さんって人じゃ無いですよね」


「正樹、何故知っている」

 理彩さんにそう質問された。


「何か僕のクラスの知り合いが今日デートだって言っていたので」

 未来さんが何か驚いた顔をする。


「楓、伊勢原楓は1年M組だけれども、まだ一度も授業に出ていない。私もまだ一度しか姿を見たことが無い位のレアキャラなんだから。それが何故、デートなんて」


「スーパーから帰り、大荷物持って動けなくなっていたそうです。それで荷物持ちをかってでたと言っていました」


「なるほど、補給時に見つかった訳か」

 波都季さんが頷く。


「それで御相手はどんな生徒なんだ?」


「1年A組の栗平颯人くりひらはやとって奴です。基本的には問題無いと覆います。奨学生って言っていたから多分頭もいいと思います。ただ……」


「ただ、何だ」

 会長が面白そうに尋ねる。


「二言目には彼女が欲しいと言っている奴なんで、個人的にはちょっと心配かなと」


「なぬ!」

 会長が驚いた声を出す。


「それはあれか。それだけ彼女を求めているという事はだ。彼女としてならセクハラしても怒らない、つまりセクハラし放題という奴か」


「会長、発想も観点も全く間違っています」

 遊里さんが突っ込む。


「それはちょっと心配かな」


「言っている事と内面が違う事は良くある」


「でも一般論としてまずいでしょ」


「男子3人がいればBL設定も色々作れますわ。総受け有りとか」


「沙霧それ違う」


 色々意見が出た後に。


「まあ舞香と明里に任せておけば安心だろ。『真実の目』と『既知の事実』の組み合わせを誤魔化せる奴はまずいない」


 波都季さんの言葉に皆が頷いた。

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