第63話 春日野もどっぷり浸かっています

 現在時間19時50分。


 うちの寮は20時まではあまり帰寮に文句を言われることは無い。

 20時以降だと時に説明が必要になる。

 ちなみに22時以降は一筆書かされて。

 0時以降を見つかると場合によっては停学処分。


 そんな訳で20時に間に合うよう自分の寮へと帰る途中。

 春日野と一緒になった


「どうしたんだ、春日野」

「そっちこそ」

 という訳で。


「ちょっと合同で飯を食べてきた。3人で」

 こっちから先に話す。

 歩きながらだ。

 遅れて説明が必要になると面倒くさい。


「そっちもか」

 という返事が返ってきた。

 と、言う事は。


「こっちは未来さんと理彩さん、そっちは?」


「杏さんと、あと2年の大野明里さんと1年の愛甲愛海あいこうなるみさんと石田 彩葉いしだいろはさん。どうも特別科では飯メイトというのが普通らしいな。飯の好みとか気があうかとか色々含めて募集したりするのが普通らしい」


「そうだったのか。僕は奨学金で生活しているから節約のため、と聞いたけれど」


「それが本来らしいけれどさ。こっちは杏さんが料理好きらしくて半ば3人で寄生している感じ。杏さんは魔法道具の研究も妥協無いけれど、料理も同じくらいこだわるんだな。ただ見てて上手だし楽しそうだけれどさ」


 なるほど、道具に限らず作るのが好きな訳か。


「こっちは僕を入れた3人で輪番制。ちなみに今日で2回目だ、僕が作るの」


「何気に苦労しているな。でも会話とか大丈夫か。こっちは明里さんと杏さんがリードしてくれたから何とかなったけれど。人によっては警戒心が半端ないから注意した方がいい、なんて言われているし」


「こっちは合宿である程度話をしたことがあって、それで誘われたからさ。でも2年2人は知っているけれど、1年2人は始めて聞いた名前だな。まあ1年は今一緒に飯を食べた2人しか知らないけれどさ」


 何とか20時に間に合った。

 在室一覧を不在から在室に変える。


「そう言えば合宿はどうする。再来週あるって聞いたけれど」


「僕は強制参加だけれど、杏さんは多分不参加じゃ無いか。いつもそうらしいし」


「そうなんだけれどな。場合によっては参加するって言っていた。例の杖の件が何とかなったら、合宿の場をかりて公表して、ついでに試験したいって」


 なるほどな。


「取り敢えずまだ僕は合宿の話を聞いていないから、明日様子を伺ってみるよ」


「了解。頼む」


 という事で別れる。


 ◇◇◇


 翌日。

 準備室に入ると、皆の服装がいつもと違っていた。

 ほとんどが学校の体操服姿だ。

 例外が上下青色ツナギの会長と波都季さん。

 会長は小さいサイズのツナギを更に袖やら膝やら色々折りまくって着用している。


「どうしたんですか、皆さん」


「リサイクルセンターに資材確保に行くのだが、その格好で大丈夫か」


 あ、そう言えば昨日そんな事を言っていたな。

 そして幸い体操服も持っている。


「ちょい着替えてきます」


 準備室から隣の化学実験室へ行って。

 ささっと着替えて戻る。


「それでどんな感じに資材を確保するんですか」


「行けばわかる」


 そんな訳で、僕達は準備室を出て。

 リサイクルセンターを目指して歩き出した。

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