第62話 一日の平和な終わり

 そんな訳で。

 本日も理彩さんのお部屋にお邪魔する。


 料理を作るのは未来さん、理彩さんと僕の輪番。

 でも料理を作って食べるのは主に理彩さんの部屋だ。

 調理用具が揃っているのと冷蔵庫が大きいのがその理由らしい。


 さて、色々あって久しぶりに今日は僕の当番。

 冷蔵庫の中は大分残り少ない。

 そろそろ買い出しが必要だろうか。


 使えそうなのは冷凍の豚挽肉、同じく冷凍の鶏手羽、ジャガイモ、冷凍菜の花。

 豆腐1丁は微妙に使いにくいしキャベツも残り少ないし。

 うん、メインは鶏手羽を適当に甘辛く煮たもの。

 つけあわせはジャガイモと菜の花のサラダ。


 そんな訳で僅かに残っていたタマネギを刻み、鶏手羽と一緒にフライパン投入。

 冷凍菜の花を茹でるための水入り鍋も同時に火にかけて。

 程良く鶏手羽が焼けたら砂糖、味醂風調味料を入れてちょい水も入れてと。。

 全部煮立つまでの隙にジャガイモを剥いて適当に切ってレンジでチン。


 煮立ってきた鍋に醤油と蕎麦つゆ投入。

 更に冷凍菜の花を柔らかくなるまで湯がいてと。

 残り少ないキャベツは千切りで消費しておこう。

 フライパンの汁が少なくなってきたら適当に鶏手羽を転がして全体に味をつけて。


 炊飯器が終了を告げたらこれで完成。

 適当な料理、完成だ


「何か数日なのに正樹、大分慣れてきたな」

 未来さんにそう言われる。


「2人の料理を見ていて何となく。あと一応ネットでも勉強したな」

 要は火を通して味をつければ料理だ。

 その事は理解した。


 味付けはカレーとかそういったもの以外は全て甘辛が無難。

 蕎麦つゆに味醂風調味料を加えれば誰でも出来る和風の味。

 RPG風に言うならばだ。

 柿生正樹は手抜き料理(初歩)を覚えた!

 貧乏性が5、アップした!


 うーん、微妙なステータスだ。

 でもまあいいだろう。

 この場では役に立つ。

 チンして潰したジャガイモ、キャベツ千切り、菜の花のサラダ。

 色だけは美味しそうな鶏手羽の炒り煮。

 今日の御飯は完成だ。


「いただきます」

 3人で食べ始める。


「そう言えば理彩、昨日ありがとうな。でもあの後大丈夫だったか」


「大丈夫。舞香さんの言うとおり」


「会長、爆笑してたぞ。見事にやられたって」


「こら未来。お前、手をあげようか迷っていただろう」


「いや、折角だからこのチャンスに……」


「何のチャンスだ、おい」


 なんて事を言いながら3人で御飯。

 この体制もまだ数日なのに、何かすっかり慣れてしまったな。

 昨日1人で弁当を食べている時、微妙な違和感を感じたくらいだ。

 あ、そう言えば。


「昨日、開発部に紹介した春日野という奴が風呂で被害に遭ったらしいが」


「うん、なかなかごつくて見応えあったと言っていたよ」


 おいおいおいおい。

 しっかり見た奴がいた訳か。


「あまりいじめないでやれよ。奴なりに色々役立ちそうだし」


「あの杖、どうなったかな」


「何か大分改良点があるらしいぞ。今朝春日野から聞いたけれどさ」


 そんな感じに今日は平和な感じで。

 一日が無事終わろうとしていた。

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