第61話 次は実行ターンです

 そんな訳で。

 取り敢えず猫確保と彫像制作だ。


 それぞれどうやるんだろう。

 そう思ったら。

 いきなり遊里さんがスマホを取りだし、電話をかけた。


「もしもし、こちら遊里です。ごめん、そっち絶好調なのわかっている。工作依頼があって。うん。リアル人間大5人分。どうせ新作作りたいだろうし予算いるでしょ」


「5千円」

 横で麻里さんが一言。


「副会長が1人千円で5千円だって。うん、わかった。材料はこっちで何とか調達する。形状はそっちの魔法でどうにでもなるでしょ。うん、くっつかないことがあるから固まりか、そうでなければ金属とか確実にくっつく材質。わかった。準備次第連絡する。それじゃあお願いね、はい」

 電話を切る。


「杏さんはOKだそうです。ただ材料は石像なら石の塊、金属像なら固まりで無くてもいいけれど単一金属のそれ相応な量を用意してくれと。報酬は1人あたり千円でお願いしました」

 今のは杏さんあての電話だった訳か。


「わかった。あとは材料探しだな」

 会長は頷く。

 そして。


「それで、猫の方の対策は?」

「必要ない」

 波都季さんの質問に会長はあっさりそう答える。


「どうせこんな回答が来るからには、すでにNNNには目をつけられているのだろう。だから『猫を飼う』という議決が出ただけで充分だ。予算はどうだ、麻里」


「1月3千円、毎年の予防接種代約5千円、去勢・避妊手術は魔法で対処。病気も同様。何とか予算内」


「だそうだ。だから放っておけ」


 また知らない単語が出てきた。

 なので聞いてみる。


「NNNって何ですか」


「正樹は知らないのか。有名な秘密結社だぞ。という事で、説明担当頼む」


 舞香さんが頷いた。

「はい。NNNとはこの場合、日本ニュースネットワークの事ではありません。『ねこねこネットワーク』もしくは『ぬこぬこネットワーク』の事です。

 具体的な活動内容は猫の斡旋。飼育条件が整った真の猫好きの元にそれに適した猫を派遣。派遣された側は最大で20年以上、その猫の世話を強制されます。

 更に条件が整った人間には多頭飼いや傷病猫の治療も押しつけるという、悪辣極まりない組織です」


 え、それって。


「それってネット上、某掲示板発のデマというか冗談じゃないんですか」

「冗談かはともかく、活動しているのは事実だ」


 会長、そして舞香さん。

 正気ですか?


「冗談だと思うなら真実を見せてやろう。

 猫飼育対策班、担当したい奴手をあげろ!」


 すっ。

 会長と僕以外の全員が手をあげた。


「こんな状態だ。既にここにもNNNの手は伸びている」


 うん。

 僕は納得した。


「なお希望者多数につき決定は後程。更に言うとここにいない生徒からも応募者を募りたいからな。今度の合宿でバトルロイヤルでもやって決めよう。その辺の手配は沙霧に任せる」


「了解ですわ」


「では、資材確保の旅に出よう。どれ位必要だ」


「鉄なら約3トンです」

 舞香さんがさらっと回答。


「なら行くぞ。行き先はリサイクルセンターだ」


「書類作成及び関係者招集が必要。明日放課後を推奨」

 麻里さんがさらっとそう告げる。


「うむむ、仕方ない。なら行動は明日放課後。今日は会議終了だ!」

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