第60話 アンケートの結果と僕の考察
「第9位、狂気、3名。この学校はまともすぎて狂気が足りないというご意見です。ただ学校内で発散されると迷惑なので、学校外で発散するようアドバイスする予定です。ただし刑法等に触れる行為をした場合は即刻退学になると思って下さい」
何かまともな意見がないなあ。
そう思いながら液晶ディスプレイを見る。
「第8位、生贄用の動物、4名。これには生贄用の羊、鶏、山羊と言った意見を統合しました。理由は『魔女の創造性は殺戮から生まれる』からだそうです。
正直こういった意見は時代錯誤だと思います。それにそんな費用は出ないことが明白なので、どうしても必要な方は自作で生贄用をホムンクルス作るようアドバイスする予定です」
こんなのばっかりだ。
「どれも採用出来そうのはないな」
「では採用可能な第7位。不気味さを演出する意味のない彫像等。『魔女の住処を演出するためにもこういった演出は必要』との事です。これはあまり予算をかけずに実行可能だと思われます。具体的には杏さんに頑張って貰えば1日1つ彫像を作る事は可能でしょう。後程どんな彫像を望むかのアンケートも取りましたので宜しくお願いします」
これもまともじゃないよな。
不気味な方がいいという意見は僕には理解できない。
「まあ学校の施設は合理的すぎるからな。ある程度のお遊びは必要だろ」
波都季さんにそう言われるとまあ許せるけれど。
「第6位、生贄用美少年、7名。これについては理由が酷すぎてここで述べることが出来ません。取り敢えずブラックリストに載せさせていただきました。今後何かありましたら通報させていただきます」
「まずい!」
誰だいまの台詞。
多分会長だと思うけれど。
「第5位、麗しい男性の若い先生。理由は『授業に出る気が起きます』。理解は出来るので学校側に意見としてあげてはおきます。でも多分無意味でしょう」
実際は藤沢先生くらいでないと収まりがつかないんだろうな。
これはまあ、しょうがない。
「第4位、異性の格好いいクラスメイト、18名。『アニメにあるような出会いを求めて日本に来たのに、何故いないのでしょうか。毎朝パンをくわえて走っていますが未だに理想の相手とぶつかりません』。
気持ちはわかりますが漫画と現実を間違えています。あと魔法使いは9割9分が女性です。ただ普通科との交流を深めることで現状打破をめざそうと思います」
僕や春日野はその先兵じゃないだろうな。
残念ながら春日野はごついし、僕も美少年という柄じゃないけれど。
「第3位。ペットの猫、22名。『魔女の必需品です。寮で飼うわけにはいかないでしょうか』。なお藤沢先生に問い合わせたところ、『別に構わん。ただし世話はそっちできちんとしろ』との事でした。これは後程対策班を作って実施に向けて進む予定です」
ああ、やっと少しはまともな意見だなと思う。
「名前は何がいいかな。魔女の相棒だしジジあたりかな」
「ジバニャンとかニャースとかは?」
「美少女の相棒だからルナでしょう」
「大和なんてどうでしょう」
皆さん日本文化に毒されているらしい。
「名前等の作業は後程対策班で行う予定です」
そう言って舞夏先輩は意見をそこで切る。
「それでは第2位。異性との出会い、23名。これは4位のクラスメイトと同系統の意見だと思われます。これも対策は同じで、普通科との交流等を今後進めていきたいと考えています。
そして第1位は。お金だそうです。何と30人。気持ちは大変よくわかります。なので今後は相手先と対象を絞って、魔法によるアルバイトの許可と受付・仲介を学校側に働きかけようと思っています。
ただ現状でも。特別科学生は生活費まで含め返還不要な奨学金を受けています。あまり無茶な要求をすると学校側やスポンサーに悪感情を与えかねません。充分に気を付けましょうという事で。
最後に彫像についてのアンケート、上位の結果発表で終わりにしたいと思います」
彫像の結果と人数、意見等が表示される。
『第3位、ラオコーン像、12人。老け専もショタも触手派も満足出来る傑作。
第2位、サモトラケのニケ、15人。首から上も両腕も無い処が萌える。
第1位、ダビデ像ミケランジェロ版、55人。モロだし美青年の代表格』
確かに魔法で本音のデータを引っ張ったせいかもしれない。
でも僕はとりあえず確信した。
魔女には変な奴が、もっと言えば変態が多い。
多分きっと。
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