第4章 特別科アンケートと開発部の新作
第59話 特別科授業の実情
「いやー、久しぶりだったなこの恐怖。10歳以下限定純血主義の中年童貞ロリコン魔法使いに追いかけられるの超怖い。前段階の知性が崩壊していくあの絶望感もたまらないけれど」
会長は懲りない様子だ。
というか何だその怖い物は。
確かに凄く怖いけれど何か違う。
「ちなみに他の皆さんは何に追いかけられたんですか」
「『千点頭脳にしてやる』と大教授ビアス様のメカに」
「きゅうべぇが、『魔法少女にしてやる』と何処までもおいかけてくるんです」
おいおいおい。
というか遊里さんすでに魔法少女だろ?
本当にその辺が『想像可能な最も恐ろしいもの』なのか?
疑問に思ったので聞いてみる。
「舞香さん、魔法は正常に働いていたんですか」
「誤作動があったかもしれません」
とまあ、その辺は置いておいてだ。
「ところで今日はどんな議題なんですか。皆さん集まっていますけれど」
「今日は特別科の生活環境向上会議だな」
えっ?
「そういうのって普通は委員会とかがやる物じゃないんですか」
「特別科は委員はクラス委員1人だけだからな。そもそも学校にいるけれど授業に出席しない奴も多い。魔女の知識というのは個々に習得方法が違うからな。
成績は期末にペーパーテスト。それすら受けない者は魔法で知識及び理解水準を審査して決める。うちの普通科には劣るがそこそこの高校レベルの実力はあるぞ」
「そんなの学校教育法が許すんですか」
「書類上は何とかなっている筈だぞ。書類上だけはな。」
つまり違法状態と。
まあ特性上仕方ない部分もあるのかもしれないけれど。
「大体1学年が20人くらい。そのうち授業に出てくるのは10人いるかいないかってところだな。例えばだが正樹、舞香に学校の授業が必要だと思うか?」
そう言われると確かに必要ないような。
現状で既知の知識を習得・操作可能という魔法使いだから。
「でも私は毎回、テストだけは出ていますけれどね」
でも今の例で確かに理解した。
授業が必要ない魔法使いもいるのだろうと。
「そんな訳で、うちの研究会がやっているイベントが実は一番生徒の集まりが多かったりする訳だ。だから生徒の意見集約等も、うちに委任されている事が結構多い」
「まあ藤沢先生が面倒だから押しつけている、という状況もあるんですけれどね」
遊里さんが内情をあっさりとバラす。
「そんな訳で改善アンケートを取ってみた」
なるほど、そういう事もやっているのか。
「結構真面目に活動しているんですね」
「いや、舞香に勝手に作らせた。どうせ調べても同じ事になるし」
舞夏先輩お疲れ様です。
「それで自動アンケートの結果はこれだ。という事でパワーポイント準備」
舞香さんがノートパソコンを出して、ケーブルを接続する。
大画面液晶テレビにパワーポイント画面が映し出された。
『調査対象:特別科学生63名。調査方法:知識操作・集計魔術
調査期間:4月16日木曜日午前10:00~11:00
調査実施者:玉川舞香』
黒地に白文字でそんな表示が出る。
フォントがホラー映画っぽいのは舞夏先輩の趣味だろうか。
『調査その1 本高校特別科での生活環境についてお伺いします。ずばり、貴方の生活環境において足りないモノは何ですか。1人につき2点、正直にお答え下さい』
何か質問が怖い気がする。
『正直に答えろ!』なんて感じで。
そして相変わらず黒地にホラーフォントの白文字。
『モノ』の部分だけが赤色なのがホラーっぽい。
そして舞香さんによる朗読と文字が両方入る。
「少数意見から発表します。
第10位、血の臭い、2名。理由としては『この臭いがないと元気が出ない』とあります。なお対応策として、『自分の手首でも切って下さい』と回答する予定です」
おいおい。
いきなりリストカット推奨かよ。
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