第33話 会長は相変わらずです

 夕食の鶏肉照り焼きとスープ、サラダの後は。

 大広間でカードゲーム大会だ。

 カードゲームと言っても今風にデッキを組んで攻撃などをするアレではない。

 UNOだのトランプだのと言った奴だ。


 正確には、

  ○ UNOのテーブル

  ○ トランプでポーカーのテーブル

  ○ ナンジャモンジャのテーブル

  ○ ナインタイルのテーブル

があり、それぞれ4ゲームずつ参加、合計順位を競うという大会だ。


 なお各テーブルは人数が違う。

 UNOのテーブルは5人定員だし、ナンジャモンジャは2組のカードを使って8人から10人が定員だ。


「慣れてそうな上級生には勝てなさそうだ。ここはあえて一緒のゲームになるよう3人一緒に回ろうぜ」

 未来さんの口調は上級生相手と僕相手では随分違う。

 まあいいけれど。

そんな訳で未来さん、理彩さんと一緒に各テーブルを回ったのだが。


「作戦失敗。理彩が強すぎた」

「確かにそうですね」

 という状態になってしまった。


 4種類で4ゲーム。

 つまり順位得点が16点から100点くらいになるのだけれど。

 僕は93点。

 未来さん95点。

 つまり2人はほとんどのゲームでどべかラス2程度。


 そして理彩さんは25点。

 ほとんどのゲームで1位か2位、1回だけ3位があったかな。


「ごめん。でも他人相手のカードゲームで負けたの久しぶり」

 これが理彩さんの感想だ。


「それを早く言ってくれ!」

「すみません」

「謝る必要は無いですよ。僕か未来さんが弱すぎるだけで」

 という感じで。


 ちなみに平均得点は随時液晶テレビの画面に表示されている。

 ゲーム毎に順位をパソコン入力して即反映している訳だ。

 これによると現在の断トツ一位は明里さんで平均1.25位。

 次が理彩さんの1.56位だ。


 僕らは全ゲーム終わったがまだまだゲームは残っている状態。

 なので3人でふらふら見て回る。


「どうだった。今回のカードゲーム大会は」

 ふっと会長が出てきた。

 理彩さんが咄嗟に僕の影に隠れる。

 そこまで驚く事も警戒する事も無いと思うのだけれども。


「惨敗です」

「まあ魔法使いの属性によっては魔法を使わなくても相手の意図を読むからな。表情だの仕草だのでわかるのだそうだ。明里がそんな事を言っていた」

 なるほどな。

 それでは一般人は勝ち目は無い訳だ。


「ちなみに会長はどれ位ですか」

「平均で4位以下だな」

「弱いじゃないですか」

「どべ候補に言われたくない」

 確かに。


「それにしても常に両手に花という感じで羨ましいな。本気で頑張れば20Pなんてのも出来そうだな」

 何だその20Pというのは。

 少し考えてやっと理解した。

 3Pとか4Pとかの超進化形か。


「何、品がない事言っているんですか。セクハラですよ」

「いたいけな幼女が言う言葉はセクハラじゃないぞ」

「中身が論外なので却下です」


「相変わらずつれないな」

「大体僕以外は全員女の子なんだから、両手に花もしょうがないでしょ」


「ぼっちという選択肢もあるぞ」

「悲しいからやめて下さい」


「あとは奴隷とか全受けとか」

「何考えているんですか」


 でもまあ会長との会話はこれが平常運転だ。

 理彩さんがかなり引いているような気もするけれど。

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