第34話 少しだけ疑惑

 翌朝は朝食後、全開魔力の測定大会。

 これは僕以外全員参加らしい。

 なので僕は強制的にお手伝い役。

 パソコンと測定機器の操作担当だ。


 やる事は単純。

  1 番号順に名前を呼ぶ

  2 出た値を表計算に入力

  3 測定器をリセット

 それだけだ。


 なお表計算ソフトはマクロ入り。

 結果をソートして順位をつけてシート右側に表示する。

 それが外に持ち出した液晶テレビに表示されて。

 結果に魔女が一喜一憂するというシステムだ。


「それでは10番、鶴川波都季さん」

「よーし、今度こそ1000mp突破するぞ!」


 波都季さんはそう言って測定器のある直径2メートルくらいの園内に入って。

 そして。

 何かを念じる感じで力を込めて。


「うーん、これでどうだ!」

「986mpです」

「うう、僅かに届かなかったか……」

 という感じの流れだ。


 順位的にはあの準備室のいつものメンバー、結構強い。

 大体上位の方にに顔を出している感じ。

 会長が2位。

 麻里さん3位。

 遊里さんが5位という感じ。

 今の波都季さんが6位だ。


 ちなみに1位はハイパーテニス大会優勝者の真奈美さん。

 あと歩美さんが思ったより振るわない。

 今の段階で9位。

 今のところ10人中の9位だ。

 結局2年生、1年生と測定して。

 僕以外21人が全員測定したところで終了。


 なお未来さんは2年生と比べても上位の11位に入って満足のようすだ。

「でもまだまだこんなものじゃないんですからね」

 とか言っているけれど。


 昼食を食べながら沙霧さん司会で表彰式。

 そして表彰式の最後にこんな発表が。

「それでは全員参加のカードゲームと魔力測定。この合計順位で最低の方は罰ゲームをして頂きます。

 罰ゲームの内容はいつも通り。

 『酔っ払って寝ているであろう藤沢先生をたたき起こす』です」

 

 効果音が流される。

 なんだそりゃ。

 大体先生、今日は運転担当の筈だ。

 酔っ払っていていいのか。

 まあ魔法で何とかするのかもしれないけれど。

 でもそこに近づくのは僕ならごめんこうむりたい。


 そして沙霧さんが口を開く。

「それでは栄誉ある目覚まし役は、成城歩美さん、お願いします」


「はいはい」

 歩美さんが出てくる。

 微妙に嫌そうな顔をして、肩をすくめて。


「しょうが無いわ。では行ってきます」

 そう行って部屋の外に出て行った。


「以上で今回の行事は全て終了です。それではこの後片付けて、1時間後の13時ちょうど出発予定です。

 各自準備は宜しくお願いします」

 という事で解散になる。


 ◇◇◇


 ちょっと気になったので。

 取り敢えず近くにいて一番聞きやすい舞香さんに聞いてみる。


「あの歩美さんの魔力とかゲーム結果とか、微妙におかしくないですか」


 舞香さんは頷いた。

「そう思っている人も多いですね。でも歩美さんは実際ほとんど魔力を使わないし魔力を見せないんです。それにゲームも魔法属性的には強そうなんですけれどね。ただ誰も確証を出せないし。

 誰とでも仲はいいけれど特につるむ事も無い。そういう意味でも色々変わった人ですね」

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