第32話 月曜日の助っ人
ただテニス大会と比べれば。
犠牲者は少なくて済んだらしい。
少なくとも夕食の調理はヘルプに呼ばれなかった。
結局卓球大会は淡々と舞香さんがストレート勝ちで優勝し。
時間軸を操作し超高速移動を使った波都季さんが2位。
念力でラケット複数打ちをしていた美菜美さんが3位だった。
普通の世界から見ると異常な試合。
でも見ている分には楽しかった。
でも。
「参加する気にはならない。疲れそう」
明里さんの台詞に理彩さんが頷く。
全くもって僕も同意だ。
僕は午後、何となくこの2人と一緒に動いていた。
なお未来さんは卓球大会に出場。
波都季さんの超高速卓球に翻弄された結果、大広間に倒れている。
まあ夕食までには回復させられると思うけれど。
暇になったので明里さんに少し聞いてみる。
「そう言えば会長からこの次は開発部を紹介するって言われたんですけれど。開発部ってどんなところですか」
「ある意味純粋に魔法使い的な場所」
明里さんも開発部については知っているらしい。
「魔法杖、水晶球、飛行ホウキ等の魔道具の研究。及び失われた魔法の再開発が中心。魔法は数度の世代断絶で失われた技術が多い。その再開発を研究している場所。
あそこの人は人付き合いが苦手。でも悪い人達では無い」
なるほど。
遊里さんとはまた違った意見が返ってきた。
「友人がいる。寮に帰ったら宜しく言っておく」
「すみません、助かります」
「
「ありがとうございます」
とお礼を言ったところで。
「いつ行くの」
と理彩さんが聞いてきた。
「月曜日の放課後。一度準備室に行って、それから案内してもらう事になっている」
「一緒に行っていい」
おっと。
この反応は予想しなかった。
理彩さんは無口であまり話していないから。
でも考えてみたらありがたい申し出かもしれない。
全く知らない場所に乗り込むのだ。
知り合いが1人でもいた方が気分的に楽だ。
「ありがとう。そうしてくれると心強い」
「ならそれも含め杏に連絡しておく。私は別用があっていけないが」
「いえ、それだけでも大変有り難いです」
明里さんに話してみて良かった。
おかげで大分気が楽になった。
そして更に。
「あと多分、未来も行きたいと思う。念の為それも連絡してくれると嬉しい」
なぬ。
これは予想外。
未来さんはそういう方面よりこっちの活動の方が合ってそうに見えるのだけれど。
「了解した」
でも明里さんはあっさりそう請け負った。
確かに人数が多い方が僕の気分は楽だ。
でもあまり多くても向こうに迷惑では無いだろうか。
「ただ未来に伝えておいてくれ。向こうでは少し静かにしてくれと。私も機会があれば言っておくが念の為」
「わかりました」
というところで。
「夕食でーす!夕食でーす!皆さん食堂集合願います」
脳内に響く魔法放送が入った。
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