第23話 百鬼夜行と担当教師
宴会は他の方向でも盛り上がり。
そしてついにはカラオケまで始まったしまった。
勿論ちゃんとしたカラオケ装置などここには無い。
司会用のマイクとスピーカーがあるだけだ。
でもスマホで音楽を流しながらマイクで歌えば。
音質はともかくカラオケとして成立する訳で。
そんな感じでメジャー系から色物まで色々と出て。
盛り上がってきたところだった。
照明が瞬いた。
電気の調子が悪いかな。
いや。
周りの表情が変わっている。
「集合!早く」
会長が背後に現れた。
だっと全員そこに集合する。
皆表情がマジだ。
動きは微妙に慣れている感じもするけれど。
「苦手な人は目を閉じて耳を塞いどけよ」
3年のこれは知らない先輩の声。
「何が始まるんですか」
「説明は後!来るぞ!ここからは喋るなよ!」」
実際に目を閉じてしゃがんでいる先輩もいる。
冗談事では無さそうだ。
会長ともう1人の3年の先輩が集団の両端で構えている。
『う……らの……』
何か聞こえた気がした。
照明再び瞬いて。
消える。
『うし…らのほ……』
また聞こえた。
もう僕にもわかる。
わかるような経験がないけれどわかる。
全身の毛が逆立つような。
それでいて震えが止まらないような。
恐怖と異物の気配だ。
ふっと向こう側が明るくなる。
いや明るくないが見えるようになる。
僕は目を瞑っている。
目を瞑っている筈なのに。
『丑寅の方より詣ず……』
目を瞑っていても見える。
異形の行列だ。
破れた提灯みたいなものを下げてやってくる。
見てはいけない。
見てはいけない。
そう思っても視線が吸い寄せられそうになる。
目は瞑っているのだけれども。
と、その時だった。
すっと光が差した気がした。
「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前!」
声が響いた。
異形の気配が立ち止まって。
そして薄れていくのがわかる。
瞼が光を感じた。
部屋の明かりがついたらしい。
「オン、キリキハッタ、フクタン、バソツ、ソワカ……」
そんな妙な言葉が聞こえる中僕は目を開ける。
首が伸びきったTシャツにジャージズボン姿のおっさんがいた。
これは妖怪でも何でも無い。
藤沢先生だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます