第13話 合宿の意味は何ですか

「というのはコレくらいにして、このポスターは不味くないですか」


 僕は会長以外の良識のある方々に訴える。


「大丈夫だ。先生の目には確認出来ないよう認識阻害の魔法をかけてある」

「全然大丈夫じゃないです。それは」


 全く学校内で何というものを掲示しているのだ。

 魔法まで悪用して。


「悪いな。剥がしても剥がしても再生してしまうんだ」

「499枚まで剥がして確認済」


 波都季さんと麻里副会長が苦笑いを浮かべつつそう説明。


「魔力の勝利だ」

 会長は胸を張る。

 小学生のぺったんこな胸を。


「いらん事に魔法を使うな」


 何か疲れた僕に今度は遊里先輩が。


「ねえ正樹君。本当に会長に愛想が尽きたら遠慮無く言って下さいね。汚物は消毒しますから」

「ちなみに遊里さんの魔法は高熱火炎魔法です。6000度以上で鉄をも燃焼させてしまう大技ですけれどどうしますか、使いますか。私は心置きなく使うべきだと思います」


 舞香先輩までそんな事を言い出す始末。

 でも流石に殺害は不味いだろう。


「まだ焼却はいいです。この次の機会にお願いします」


「私はは滅びぬ!何度でも蘇るさ!」

 何処かで聞いたような台詞を会長が吐いたところで。


「他にも色々まともなポスターを貼ったりしているんですけれどね。最初のうちは皆さん色々警戒心が強いんですの。それぞれに色々な経験をされていますから」


 遊里さんがまとめる。

 なるほど、そういう事情がある訳か。

 でもそれだとすると待てよ。


「なら新人歓迎合宿とか、錬成合宿はまだまだ先でいいんじゃないですか。ちゃんと新人が入った段階で」


「既に新人は1人入っていますわ」

 沙霧さんがそう宣言。


 えっ。

 今まで紹介されたの、皆2年生以上だよね。

 それってまさか。


 全員の視線が僕の方を見ている。


「自覚したようだな、新1年生の正樹君」


 会長がそう宣告した。

 ちょっと待った。


「僕は魔法を使えないんですけれど」

「気にするな。何なら初歩から教えてやる。手取り足とり腰とって」


 徹底して下ネタに走る会長。

 もういい。

 反応するのは疲れた。

 なので会長は無視。


「でも僕の場合は錬成合宿は意味ないんじゃ無いですか」

「なあに、次の新人が来たらまた歓迎合宿と錬成合宿をやるまでだ」


「その点だけは会長に同意ですわ」

 と遊里さん。

 麻里副会長も頷いている。

 僕は理解した。

 要は皆で騒ぎたいだけなんだ、この人達は。

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