第12話 絵の完成度は褒めてやる
「はじめまして」
そう言ったところで、小柄な方の女の子がびくっと身体を震わせる。
あれ、何か不味い事をしたかな。
そう思ったら。
「心配しなくていいわ。
私は
2人で軽く頭を下げる。
「どうも有り難うございます。僕は柿生正樹、1年A組です。普通科なのですが会長に脅されてここにいます。どうぞ宜しくお願いします」
「なるほど、それは災難ね」
そう言って沙霧さんは頷いた。
テーブルの方は上座の3年生3人以外は特に指定席というのは無いようだ。
なので僕は取り敢えず空いている波都季さんの横に座る。
会長も上座に座り直し、そしておもむろに口を開いた。
「さて。今日は取り敢えずの活動予定を決めたい。今週からGW終わりまでだが、とりあえず案はあるかな」
「新人歓迎合宿とGWの錬成合宿は必須でしょう」
僕の隣の波都季さんがいきなりそう提案。
え。
いきなり合宿ですか。
「合宿って何をするんですか」
「普通の合宿と同じさ。貸別荘を借りて泊まって、料理作ったり話をしたり。あとは軽いハイキングだな。歓迎合宿の方は。
錬成合宿は各自の魔法披露を兼ねているからな。泊まりは同じように貸別荘だけれど、ハイキングの他に魔法演習もちょっとやる。まあご披露程度でそんな派手な事はしないし、魔法を使えない正樹は見ていればいいから心配ない」
なるほどな。
でもちょっと待てよ。
「その前に新人の確保というか勧誘をしないと不味いんでは無いですか」
「一応やっているぞ。M組用の校舎の掲示板にポスター貼ったりして」
そして会長がにやりと嗤った。
「つまりはこれだ」
不意に走る緊迫感。
「会長ちょっと待った!」
「阻止して!」
何か色々聞こえたような気がしたが。
僕の目の前に広げられた紙がいきなり現れて。
そして僕はそれを目にしてしまう。
「何ですかこれは」
多分これは僕だ。
何気に顔とかよく似ている。
4頭身になっているけれど。
そしてイラストの僕の後には同じようにデフォルメされた会長の姿。
会長がこけしのような物を僕の背後から下半身方向に押し込んでいて。
尻を押さえた僕が、
「アッー!」
と叫んでいるという絵だ。
文章も酷い。
『痛いのは最初だけ、天井の染みを数えている間に終わるから』
『一般人男子、入荷しました。安全確認済みです。魔法研究部(魔女集会)』
酷い、酷すぎる。
という訳で僕は立ち上がる。
「もう嫌、こんな生活!
「ならご挨拶に一緒に伺わせていただこう。貴方の息子を私に下さいと」
間髪入れずにそう返してきた。
やるな会長。
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