第5話 子はかすがい

すずです。

お父ちゃんちにはお父ちゃん・お母ちゃんのほかに、お姉ちゃんがひとりいるんだけどひとり暮らししていてたまにしか帰ってこないんです。

すずがもらわれる時一緒に来ていて「この子がいい」って言ってくれた見る目のあるお姉ちゃんですが、それから1回くらいしか見ていません。でも、匂いはお父ちゃんの匂いもお母ちゃんの匂いもするんですぐわかるんで「おあいそ」すると可愛がってくれます。

そのお姉ちゃんがこの間帰ってきたとき、

「うちが明るくなっている」って驚きながら言ってるんです。

お姉ちゃんが居るとき居ないときで雰囲気は全然違っていて、帰ってくる日はお母ちゃんは朝から掃除機かけるわ台所たちっぱなしやわ、お父ちゃんは言われもしていないポーチの掃除はするわで・・・、

お姉ちゃんの顔を見るやいなやお母ちゃんは話が止まらなくなるしお父ちゃんはニヤニヤしながら話の間にオジンギャグの突っ込み入れるしの一日になるんですけど、どうやらそれと似たような空気が生まれているそうなんです。

そういえば、すずを巡ってお父ちゃんとお母ちゃんの会話が増えているような気がします。

お父ちゃんが仕事から帰ってきたら、お母ちゃんはその日一日すずの周りにあったこと、うんちがうまくなったこと、「待て」が長く続くようになったこと、近所に人に「かわいい子」って言われたことを話すんです。お母ちゃんの特技は一日の話を話題順じゃなくて時系列に話をすること、10分ほどの出来事を30分にも1時間にも伸ばせて話しできることで、それをお父ちゃんが着替えを取りに部屋を出ても、トイレに入っても話し続けるんです。そんなことがあるんでお父ちゃんはうるさそうに聞き流すだけがこれまでだったんですが、それがだんだんと・・・。

今はすずの話をふんふんと聞いているんです。

お姉ちゃんが言っていたことこのことなんやろうなぁ。

「仲が良くなった」んじゃなくて「仲が戻った」?

なんかなぁ・・・。

子はカスガイって言うけど、すずはカスガイなんやろねぇ。

どうでもいいけど、結構利用してるんちゃう、すずの事。

もっともっとヤンチャしようっと。

年寄りふたりのために。

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