第6話 石

すずです。やんちゃし放題です。

おそとの散歩は免疫かなんかの都合でまださせてもらえないんですけど、

ポーチとお庭は遊び放題、飛び放題です。

お庭からすずの背丈ほどもある段差も飛び乗ったり下りたりです。

「階段怖かったんちゃうの」って?へへ!忘れちゃった。いつまでもそんなこと言ってると嫌われるよ。

遊び余ってきれいに咲いていたビオラをむしゃむしゃ食べつくしたり、

クリスマスとかいうお祭り用にお母ちゃんが大事に育てているシクラメンを踏みつけたりしたもんで・・・。

すずがお庭に入れないように柵を張りめぐらされました。

おかげでポーチとお庭は行き来できなくなるし土遊びできないし、

おいしい草も食べられなくなるし、ひとっつも面白くなくなったの。

あまりに面白くないので

土遊びできないように敷き詰められた丸石のひとつを、すず、飲み込んじゃった!

ふりをしたんです。

そしたらお母ちゃんが

「すずが石食べた」

お父ちゃんが

「え!石を飲み込んだん」

「吐き出してないよ、どこにもないもん。飲み込んだんやわ」

「丸いから喉を通ったんやなぁ、吐き出したらエーけど、どっかで詰まったら大変や。

レントゲンで診てもらわなあかんな」

ちょ!ちょっと待って!

大変なことに。

その石ここにあるよって言えなくなって・・・。

それで獣医さんちに行くことになって

「何とも言えませんが、石らしきものが胃の中にあります。吐いてくれればいいんですが」

って注射で胃の中吐き出されました。何させんのヨ!苦しいよぉ。

「胃の中には何もありませんでした」当たり前でしょ。

「2・3日置くとウンチと一緒に出ることがあります。

それでもでなければ腸をふさぐことになります。

体が弱って来るんでわかります。

その時は開腹手術です。

元気であれば石は飲んでいないんでしょう」

だって。

石なんか出ないよ、飲んでないもん。このヤブ!

するとお父ちゃん

「あぁ、それは腸閉塞ですね。私もなったことがあるんで症状わかります。

あれは腎臓に負担が行くんです。わたし腎臓が悪いんで大変危険な状態でした」

って、あんたの事ちゃうて。自慢することでもないし。

2・3日後・・・。

石が無いことがわかってお父ちゃん

「馬鹿野郎!無駄使いさせちまいやがって」だって。こんな時だけ東京弁。

ごめんね、もうしません!

なんちゃって。

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